オーストラリアの鳥マグパイとは?繁殖時期や気をつける点など解説!

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オーストラリアには、ユニークな野生動物がたくさん生息しています。その中でも、美しい鳴き声と賢さで知られる「マグパイ(Magpie)」は、多くの人に愛されています。しかし、繁殖期には攻撃的な一面も持ち合わせているため、注意が必要です。

この記事では、マグパイの生態や特徴、マグパイアタックと呼ばれる攻撃行動、そして対策方法について詳しく解説します。

マグパイってどんな鳥?

マグパイ(学名:Gymnorhina tibicen)は、スズメ目フエガラス科に属する鳥で、白黒の羽毛が特徴です。

マグパイの基本情報

・体長:36〜44cm
・翼幅:約65cm
・寿命:野生で約25年
・成鳥の目の色:栗色
・羽の色の違い:模様は地域によって異なる。オーストラリアではオスは首・肩・背中が白く、メスは灰色がかった色であることが多い。

マグパイは賢いことで知られ、特定の人間の顔を記憶する能力を持っています。友好的な個体もいれば、縄張り意識が強い個体もいます。

マグパイはオーストラリアの代表的な鳴禽(メイキン=よくさえずる鳥)の一種であり、4オクターブの音域を持つ美しい歌声を奏でることから、「フルート・バード(Flute Bird)」という別名もあります。

マグパイの繁殖行動

マグパイの繁殖期は8月から11月で、この時期に攻撃的になることがあります。巣やヒナを守るために、特にオスが縄張りを強化し、人間や動物に対して攻撃的な行動をとることがあります。しかし、通常はおとなしく、攻撃的な行動をとるのは繁殖期に限られます。

マグパイは木の枝の高さ、最大15メートルの場所に巣を作ります。同じ巣を毎年使い続けることが多く、一度住み着いた縄張りを守る習性があります。

メスは1回の繁殖期に3〜5個の青または緑色の卵を産み、約20日間温めます。ヒナは孵化後4週間ほどで飛べるようになりますが、親鳥は約2年間、子どもたちを保護します。その後、若鳥は親から離れ、群れに加わりながら独立していきます。

マグパイは20羽以上の大群で生活することもあり、適した繁殖地が限られているため、群れの全員が縄張りを守るために協力することが知られています。しかし、多くの若鳥は成鳥になる前に天候不良、食糧不足、交通事故、捕食者によって命を落とすこともあります。

マグパイの鳴き声と生態

特に朝と夕方によく響き渡る美しい旋律が、マグパイの鳴き声が持つ特徴です。その独特の音色は、オーストラリアの自然を象徴するものとして多くの人に親しまれています。

エマ・ローズ・ローパー氏の研究によると、マグパイは自分の鳴き声を進化させる能力を持っていることが分かっています。特に外部の環境に影響を受けにくい状況で、新しいメロディーを作り出し、発展させ、模倣することができます。

"Australian magpies take an active role in shaping their own vocalisations. They are capable of improvising, creating, and mimicking new melodies throughout their lives, particularly when they are not influenced by external social or environmental factors." — Emma Rose Roper, 引用元:Australian Museum”Why do Magpies swoop?

マグパイとスラング

「マグパイ」は、英語圏ではスラングとしても使われることがあります。一般的に以下のような意味で用いられます。

おしゃべりな人:「マグパイ」はよくさえずる鳥であることから、おしゃべり好きな人や、噂話を広める人を指すスラングとして使われることがあります。

例:「She’s such a magpie, always gossiping about everyone.
(彼女は本当におしゃべりで、いつもみんなの噂をしている)」

収集癖のある人:マグパイはキラキラしたものを集める習性があるため、物を集めるのが好きな人を指すこともあります。

例:「He’s a real magpie when it comes to antiques.
(彼はアンティークに関してかなりの収集癖がある)」

マグパイアタックって?

「マグパイアタック(Magpie Attack)」とは、繁殖期にマグパイが巣を守るために人や動物を攻撃する行動を指します。特に8月〜11月は注意が必要です。

この時期、マグパイは巣やヒナを守るために縄張りを強化し、侵入者を追い払います。くちばしをカチカチ鳴らしたり、頭上を飛び回ったり、鋭い鳴き声を上げるといった攻撃行動を取ることがあり、これらは全てマグパイからの「離れて」という警告の意味を持ちます。

なぜマグパイは攻撃するのか?

マグパイが攻撃的になるのは、巣やヒナを守るための本能的な防衛行動と考えられています。主な理由は以下の通りです。

・巣の近くを通る人間や動物を「脅威」と見なす
マグパイは非常に縄張り意識が強く、巣の近くを通るだけで攻撃することがあります。
・雛を守るための防衛本能
繁殖期のマグパイは、ヒナを捕食者から守るために積極的に敵を追い払います。
・過去に危害を加えた相手を記憶し、繰り返し攻撃する
マグパイは非常に知能が高く、人の顔を識別できると言われています。過去に・脅威となった人物を記憶し、何度も攻撃することがあります。

このように、マグパイの攻撃は単なる凶暴さではなく、種の生存を守るための自然な行動なのです。

どのように攻撃するのか?

* 急降下攻撃:後方から高速で接近し、頭や顔を狙う
* 爪で引っかく:特に目を狙うことがある
* 嘴(くちばし)で突く:流血するケースもある

攻撃的なマグパイは一部の個体のみですが、特定の人を執拗に狙うこともあります。

実際にマグパイによる攻撃を受けた10歳のマックス・シャーウッド君の動画がネットに投稿されて話題になり、オーストラリアのニュースメディア「7news」で取り上げられた映像があります。マグパイの攻撃がどのようなものか、ぜひこちらの動画で確認してみてください。

マグパイアタックのピークは8月〜11月の繁殖期です。この期間、巣の近くを通るだけで攻撃される可能性があるので注意が必要です。

マグパイへの対策方法:気をつけるべき時期や装着物など

・マグパイの縄張りを避ける
公園や通学路で「マグパイ注意」の看板がある場合は、迂回するのがベスト。
・帽子やヘルメットを着用する
頭を守ることで、攻撃を受けてもダメージを軽減できます。
・サングラスやゴーグルで目を守る
マグパイは目を狙うことがあるため、顔の保護が重要です。
・自転車に乗るときは特に注意
自転車に乗る人は標的になりやすいため、ゆっくりと通過するのが安全です。
・攻撃されたら冷静に対応する
走ると逆効果になることがあるため、ゆっくりとその場を離れることが重要です。

オーストラリア博物館によると、自転車に乗る人はマグパイの標的になることが多いそうです。マグパイは賢い鳥で、最大100人もの人を識別できるため、巣から50〜100メートル離れた場所で自転車に乗っている人を攻撃することもあります。

マグパイアタックの被害を避ける対策として、マグパイが巣を作っている場所を把握し、そこを避けることが推奨されています。マグパイは自らの巣とその周辺を守るため、特に繁殖期に積極的に攻撃を行いますが、すべての個体が攻撃的なわけではありません。攻撃は通常、数週間で終わり、冷静にその場を離れることで怪我のリスクを減らすことができます。

また、マグパイはニューサウスウェールズ州では保護されているため、鳥を傷つけたり、卵を採取したりすることは法律で禁止されています。

参考 : Australian Museum”Why do Magpies swoop?

マグパイは日本にもいる?

マグパイは日本に広く生息している「カササギ(カチガラス)」と同じスズメ目に属しています。

カササギは、日本では主に佐賀平野に集中して生息しており、黒い羽根と白い胸部が外見的な特徴。名前に「サギ」がついているもののサギ科ではなく、カラス科に分類されます。

カササギは、北半球の広い地域に分布しており、ヨーロッパやアジアでは一般的に見られる鳥です。しかし、日本では佐賀平野を中心に、福岡、長崎、熊本などの一部地域にのみ生息しており、その生息域は限られています。近年では北海道でも確認されることがあり、その分布は徐々に広がっているとされています。

カササギとマグパイの違い

カササギ(カチガラス)とマグパイは非常に似ており、どちらも同じ属(Pica)に属する鳥です。そのため、見た目や行動にも共通点が多く、例えば色合いが黒と白のツートンカラーである点は同じです。しかし、カササギは日本の特定地域に限られており、ヨーロッパやアジア、さらには北アメリカでは広く分布している一方、マグパイは特にヨーロッパで見られることが多いです。

保護と地域的特徴

カササギは佐賀県の県鳥に指定されており、地域の象徴的な存在となっています。その生息地は「カササギ生息地」として天然記念物に指定されており、保護の対象となっています。また、文化財保護法に基づき、捕獲や傷つけることが禁じられているほか、巣が危険にさらされた場合には許可が必要とされています。

参考 : 佐賀県庁「カササギ(カチガラス)の紹介

まとめ

オーストラリアのマグパイは、美しい鳴き声と高い知能を持つ鳥ですが、繁殖期(8月〜11月)には攻撃的になることがあります。特にマグパイアタックには注意が必要で、帽子やサングラスを着用し、マグパイのいるエリアを避けることが有効です。

また、日本にはオーストラリアのマグパイはいませんが、カササギという似た鳥が生息しています。

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