
イギリスにおけるビールは文化的、歴史的、経済的に非常に重要な役割を果たしており、単なる飲み物というわけでなく、イギリスの社会生活や文化の一部として深く根付いています。
この記事では、
イギリスのビールを深く知らない方のために、
その歴史や特徴を解説していきます。
イギリスのビールの歴史
イギリスのビールの歴史は非常に古く、紀元前1世紀頃にまで遡ります。
この時期にローマ帝国の統治下にあったブリタニアにビールが伝わったようです。
古代ローマ人は、ビールを製造する技術を持ち込み、イギリスの人々にその飲み方を教えました。
6世紀の終わり頃には、ローマ教皇グレゴリウス1世が修道院でビールを醸造し始め、これが中世のビール文化の基盤となりました。
修道院はビールの醸造所として重要な役割を果たし、ビールは日常的な飲み物として広まっていきました。
中世には、ビールは主にエールとして知られる上面発酵のスタイルで醸造されていました。
エールは、ホップを使用せず、主に麦芽と水から作られ、地域ごとに異なるレシピが存在しました。
特に、イギリスの北部では、エールの種類が豊富で、地域ごとの特色が強く表れました。
18世紀に入ると、ビールの製造技術が進化し、ペールエールやスタウトなどの新しいスタイルが登場しました。
特に、ペールエールはインドへの輸出が盛んになり、インディア・ペールエール(IPA)として知られるようになりました。
このスタイルは、ホップの香りと苦味が強く、長期間の保存に適していました。
19世紀には、ビールの工業化が進み、大規模な醸造所が設立されました。
これにより、ビールの生産量が増加し、全国的に流通するようになりました。
ラガービールが登場したのもこの時期です。
また、この時期には、ビールの品質管理が重視されるようになり、様々なスタイルのビールが市場に登場しました。
現代において、イギリスのビール文化は、特にパブ文化と密接に結びついています。
多くの人々がパブでビールを楽しむことが日常的で、地域ごとの特産ビールやクラフトビールも親しまれています。
イギリスのビールの特徴とは?
イギリスのビールは、主にエールスタイルが中心で、上面発酵によって醸造されます。
この製法で作ったビールは、豊かな香りと深い味わいを持つのが特徴的です。
エールビールの中にもいろいろなスタイルのものがあるので、主なビアスタイルをそれぞれ解説していきます。
ペールエール
ペールエールは、イギリス発祥のビアスタイルで、主に淡色麦芽を使用して醸造されます。
ペールエールの最大の特徴は、ホップの香りです。
特に、シトラスやフルーツのような香りが感じられることが多く、飲む人に爽やかな印象を与えます。
金色から銅色の見た目で、モルトのコクも感じられ、全体的にまろやかな風味が楽しめるのも特徴です。
ペールエールは、そのバランスの良い味わいから、さまざまな料理と相性が良いです。
特に、グリルした肉料理やスパイシーな料理、さらには軽い魚料理ともよく合います。
ホップの香りが料理の風味を引き立てるため、食事と一緒に楽しむのがおすすめです。
ブラウンエール
ブラウンエールは、モルトの風味が強く、色合いがブラウンに近いエール系のビアスタイルです。
ブラウンエールの色合いは、深いカッパーカラーから非常に濃いブラウンまでの範囲で、見た目からもその特徴がわかります。
ローストしたモルトに由来するカラメルやナッツの香ばしさが感じられ、程よいエステル香(フルーティな香り)があります。
ホップの香りが弱めで苦味が少なく、その分ローストされた麦芽の香ばしい風味や甘みが強調されています。
ブラウンエールは、クセが少なく飲みやすいため、さまざまな料理と相性が良いです。
特に、肉料理やチーズ、デザートなどと合わせると、その風味が引き立ちます。
ポーター
ポーターは、イギリスで生まれた黒ビールの一種で、特にローストされたモルトを使用して作られています。
モルトの芳醇なコクや甘味を感じることができ、まろやかな味わいが特徴となっています。
ポーターの色は通常、ブラウンからダークで、アルコール度数は一般的に4%から7%の範囲にあります。
コーヒーやチョコレートのような風味を持ち、苦味や酸味が比較的少ないため、飲みやすいのが特徴です。
適温は約11℃から12℃で、温度が上がるにつれて香りが引き立ちます。
ローストビーフやチーズ、デザートとしてはチョコレートケーキなどと相性が良いとされています。
スタウト
スタウトは、黒ビールの一種で、特にその濃い色合いと独特の風味が特徴です。
スタウトは、アイルランド発祥の上面発酵ビールで、ローストした大麦を使用して醸造されます。
このため、香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような香りが感じられます。
スタウトの色は非常に濃く、真っ黒であることが一般的です。
香りは、焙煎された麦芽から生まれるロースト香が強く、コーヒーやダークチョコレートのような香りがあります。
強い苦味と重厚なコクを持ち、アルコール度数も比較的高めとなります。
一般的に、ポーターよりも苦味が強く、深い味わいが楽しめますが、スタウトの中には、甘みを感じるものもあり、クリーミーな口当たりのものもあります。
単独で楽しむのはもちろん、デザートやチーズと合わせるのもおすすめです。
特に、チョコレート系のデザートや濃厚なチーズとの相性が良いです。
IPA(インディア・ペール・エール)
IPAは、ビールの原材料であるホップを大量に使用するため、香りと苦味が非常に強いです。
ホップの香りはフルーティで、シトラスや松、柑橘類やトロピカルフルーツ、ハーブのような香りが感じられることが多いですが、一般的なビールと比べてかなり強い苦味があるので注意しましょう。
多くのIPAはIBU(苦味単位)が40以上で、これは一般的なビールの約2倍の苦味を示しています。
また、他のビールよりもアルコール度数が高めで、通常は5%から7%の範囲にありますが、特に強いものでは8%を超えることもあるので飲みすぎは禁物です。
ペアリングとしては、特にスパイシーな料理やグリルした肉料理との相性が良いとされています。
イギリスの有名なビールのブランドや銘柄
イギリスはビール文化が非常に豊かで、多くの有名なビールブランドや銘柄があります。代表的なものを紹介していきます。
ブリュードッグ(BrewDog)
ブリュードッグは、2007年にスコットランドのアバディーンで創業されたクラフトビールメーカーで、現在は世界中に展開しています。
創業者はジェームズ・ワットとマーティン・ディッキーで、「最高に“PUNK”なビール」をコンセプトに掲げています。
現在、アメリカ、オーストラリア、日本など、世界各国に支店を持ち、各地の市場に合わせたビールを提供しています。
フラーズ (Fuller's)
フラーズ醸造所(Fuller, Smith and Turner PLC)は、1845年にロンドンのチジックで設立された歴史ある独立系の家族経営の醸造所です。
フラーズは、イギリスの伝統的なエールビールを中心に、様々な種類のビールを製造しています。
創業以来、品質を重視したビール作りを行っており、数々のビールコンテストで受賞歴があります。
バス(Bass)
バス・ブリュワリー(Bass Brewery)は、1777年にイギリスで創業されたビール醸造会社で、特にバス・ペールエール(Bass Pale Ale)で知られています。
このビールは、イギリスの伝統的な製法で醸造されており、英国王室御用達の銘柄としても有名です。
グリーンキング(Greene King)
グリーンキングは、1799年にイギリスのサフォーク州バリー・セント・エドモンズで創業された伝統的な醸造所です。
パブ、レストラン、ホテルの運営に加え、複数の醸造所を所有しており、IPAやエールなどのビールが人気で、国内外で広く流通しています。
トラクエア(Traquair)
トラクエアは、スコットランドの伝統的なビール醸造所で、特に「トラクエア ハウスエール」が有名です。
このビールは、約300年前から続く製法で作られており、木製の大樽で熟成されるため、ナッツやオークの独特の香りが楽しめます。
トラクエア醸造所は、全てのビールをオーク樽の中で熟成・発酵させるという伝統的な製法を守り続けている唯一の醸造所です。
ギネス(Guinness)
ギネスは、アイルランドのダブリンで1759年に創業されたビールブランドで、特にスタウトビールの代表格として知られています。
アイルランドの文化を象徴するブランドとしても認識されており、イギリス国内での人気はとても根強いです。
サミエルスミス (Samuel Smith)
サミエルスミスは、イギリスのヨークシャー州タディキャスターに位置する歴史ある醸造所で、1758年に設立されました。
ヨークシャーで最も古い醸造所とされています。設立当初から、26メートルの深さの井戸から汲み上げた硬水を使用しているのが特徴です。
ウィッチウッド・ブリュワリー(Wychwood Brewery)
ウィッチウッド・ブルワリーは、イギリスのオックスフォードシャー州ウィットニーに位置する醸造所で、1983年に設立されました。
地元の伝説や神話にインスパイアされたビールを醸造しているのが特徴です。
お土産におすすめのイギリスビール
飲むだけでなく、贈り物としても喜ばれるイギリスビールを紹介していきます。
ビール好きの友人や家族へのお土産として検討してみてはいかがでしょうか。
パンクIPA(ブリュードッグ)
パンクIPAはブリュードッグの代表作であり、ホップの豊かな香りとフルーティな味わいが特徴で、世界中で非常に人気があります。
ロンドンプライド(フラーズ)
フラーズ醸造所が製造するプレミアムエールで、ターゲット、チャレンジャー、ノースダウンの3種類のホップを使用しており、豊かな麦芽の風味と絶妙なバランスが特徴的です。
エクストラスタウト(ギネス)
ギネスのエクストラスタウトは、1821年に販売された「スーペリア・ポーター」のレシピを基にしており、初期のオリジナルギネスに近い味わいを持っています。
窒素を使用していないので、よりローストの風味を感じることができます。
ホブゴブリン(ウィッチウッド・ブリュワリー)
ホブゴブリンは、ウィッチウッド・ブルワリーの代表作であり、1997年にロンドン国際食品展で金賞を受賞しています。
糖蜜のようなモルトの甘さと芳醇なアロマが特徴です。
オーガニック チョコレートスタウト(サミエルスミス)
サミエルスミスのオーガニックチョコレートスタウトは、オーガニックのココアエキスとチョコレートモルトを使用しており、チョコレートの深い風味を味わうことができます。
オーガニック認証を受けているため、自然派志向の方にもおすすめです。
まとめ
イギリスのビール文化について理解が深まったでしょうか。
イギリスという国をより知るためにもビールは非常に大きな存在ですので、その歴史や文化的役割を理解しておくとイギリスを深く理解できます。
この記事の中で紹介できていないビールもたくさんありますので、気になった方はお近くのアイリッシュパブなどに出かけてみるのもおすすめです。
◇経歴
海外向けデバイスのソフト設計開発、関連資料翻訳
◇資格
TOEIC 900点
◇留学経験
ワーキングホリデーにてカナダ、オーストラリアに滞在経験あり
◇海外渡航経験
ワーキングホリデーでは、ホテルやレストランで仕事をしていました。
◇自己紹介
普段は翻訳などの仕事をしていますが、Webライターとしても活動しています。
興味の幅が広く、様々なテーマで記事を書いています。
皆様にとってわかりやすく面白い記事を書けるよう頑張ります。
よろしくお願いいたします。