
クリスマスマーケットはドイツやオーストリアを中心に、ヨーロッパの各地で開催されているクリスマスシーズン限定のマーケットです。
今回の記事では、ヨーロッパでぜひ訪れたい定番と穴場のクリスマスマーケットをご紹介します。クリスマスマーケットでの防寒や防犯対策、クリスマスマーケット名物の体が温まるおすすめグルメも紹介しますので、冬にヨーロッパ旅行を計画している人は、ぜひ参考にしてください。
- ヨーロッパの「クリスマスマーケット」とは?
- 【定番】ヨーロッパのクリスマスマーケット3選
- 【穴場】ヨーロッパのクリスマスマーケット2選
- ヨーロッパのクリスマスマーケットでおすすめのグルメ6選
- ヨーロッパのクリスマスマーケットを楽しむためのポイント
- まとめ
ヨーロッパの「クリスマスマーケット」とは?
ヨーロッパの冬の風物詩と言えば「クリスマスマーケット」です!
クリスマスマーケットとは、ドイツを発祥とし、中世から続く伝統的なお祭りで、ドイツやオーストリアなどドイツ語圏の国を中心に各地で開催されています。街の中心にある広場や教会などで行われるのが一般的で、開催期間は11月下旬のアドベント(待降節)からクリスマスイブ前後までの約1か月間です。
クリスマスマーケットには何がある?
クリスマスマーケットには、ヒュッテと呼ばれる屋台が並び、冬らしい温かい飲み物、焼き菓子、ソーセージなどのグルメや、くるみ割り人形やガラスのオーナメントなどの手作りのクリスマスグッズなどが販売されます。また、聖歌隊の合唱やサンタクロースとの記念撮影などのイベントも開催され、日没後は美しいイルミネーションも楽しめます。
冬のヨーロッパ旅行では欠かせないイベント
日本でも近年、商業施設などでクリスマスマーケットが開催されていますが、本場ヨーロッパのクリスマスマーケットは、現地の人たちのクリスマス準備に欠かせないイベントで、規模が違います。ずらりと立ち並ぶ屋台で、ホットドリンク、焼き菓子、クリスマスのデコレーションや、手作り雑貨などが販売されており、現地の人たちのクリスマスの過ごし方が垣間見られます。ヨーロッパへ12月中に旅行をするなら、ぜひクリスマスマーケットを訪れてみましょう。
【定番】ヨーロッパのクリスマスマーケット3選
クリスマスマーケットはヨーロッパ各地で開催されていますが、初心者でも楽しみやすい定番のクリスマスマーケットをご紹介します。
ちなみに、クリスマスマーケットの開催日時は毎年異なります。最新情報は、各都市の公式サイトを参考にしてください。
ニュルンベルク(ドイツ)
ドイツのバイエルン州北部にあるニュルンベルクは、フランクフルトから高速鉄道で1時間半、ミュンヘンからは2時間弱程の距離にあります。城壁に囲まれた中世の面影を強く残す街で、神聖ローマ皇帝の居城「カイザーブルグ城」や、ゴシック様式の「セバルドゥス教会」や「聖ロレンツ教会」などがあり、人気の観光スポットです。
そして、ニュルンベルクのクリスマスマーケットは、ドイツ三大クリスマスマーケットのひとつに数えられており、「世界で最も有名なクリスマスマーケット」とも言われています。
クリスマスマーケットは、ニュルンベルク中央駅から徒歩15分程の距離にある、フラウエン教会に面するハウプトマルクト(中央広場)で開催されます。
ニュルンベルクのクリスマスマーケットの正式名はドイツ語で「クリストキンドレスマルクト(Christkindlesmarkt)」。「クリストキント(キリストが愛した子供の天使)のマーケット」という意味で、クリストキントは2年ごとに、街の10代後半の女性の中から選出されます。
クリスマスマーケットの初日には、広場に面する教会のバルコニーからクリストキントが開催宣言をし、その年のクリスマスマーケットがスタートします。
広場には、伝統的な赤と白のストライプのキャンバスの屋根で覆われた木製の屋台が約180台立ち並びます。各屋台はモミの木のガーランドやライトで装飾されており、夜になるとキラキラとしたイルミネーションが美しいおとぎ話のような光景です。
屋台ではクリスマスオーナメント、スパイス入りで温かいグリューワイン、ニュルンベルガーと呼ばれる現地の名物ソーセージ、ドイツの焼き菓子レープクーヘン、シナモンや砂糖で味付けした焼き菓子などが販売されています。
基本情報
開催期間 2025年11月28日~12月24日
開催時間 毎日10:00~21:00、クリスマウイブは10:00~14:00
ストラスブール(フランス)
フランス北東部のストラスブールは、ドイツとの国境近くのライン川沿いに位置する都市で、フランスとドイツの文化が融合した魅力的な街です。街の中心部には中世の美しい街並みが残り、 グラン・ディル(旧市街)とノイシュタット(新市街)は世界遺産に登録されています。
パリからはTGV(超高速鉄道)で2時間弱と、フランス旅行は初めてという方でも比較的アクセスしやすい街です。
ストラスブールのクリスマスマーケットは、1570年から続くフランス最古の歴史と伝統のあるイベントです。その規模もフランス最大級で、街の8つの広場を会場として開催されます。
8つのクリスマスマーケットの中で最も有名なのが、巨大なクリスマスツリーがあり「クリスマスの首都」を象徴するクレーベル広場です。
また、ストラスブール・ノートルダム大聖堂前の荘厳な雰囲気が楽しめるカテドラル広場、1570年から続くフランス最古の幼子イエスのマーケットが開催されるブロイ広場、毎年テーマ国を変えて国際色豊かなグーテンベルク広場と、各クリスマスマーケットに特色があります。
多くのクリスマスマーケットは旧市街(グラン・ディル)に集中しているため、一晩で2〜3か所をハシゴするのも可能です。
基本情報
開催期間 2025年11月26日~12月24日
開催時間 毎日11:30~21:00、クリスマウイブは10:00~18:00
ウィーン(オーストリア)
オーストリアの首都ウィーンは、世界遺産のシェーンブルン宮殿や豪華絢爛な内装のウィーン国立歌劇場などが有名な都市です。また、モーツァルト、ベートーベン、クリムト、エゴン・シーレ、フロイトなどが活躍した都市でもあり、音楽、芸術、文化の都として知られています。
ウィーンのクリスマスマーケットは、ウィーン市庁舎とブルク劇場の間にある市庁舎前広場で行われます。ウィーン最大のクリスマスマーケットで、美しいイルミネーションと巨大なクリスマスツリーが有名です。移動遊園地やアイススケートリンクも設置され、大人も子どもも楽しめる大規模なマーケットです。
また、シェーンブルン宮殿の敷地内、ウィーン大学のキャンパス内、旧市街フライウング広場など、ウィーンの複数カ所でクリスマスマーケットが開催されているので、クリスマスマーケットをハシゴしてみるのもおすすめです。
基本情報
開催期間 2025年11月14日~12月26日
開催時間 毎日10:00~22:00、クリスマウイブは10:00~18:30
【穴場】ヨーロッパのクリスマスマーケット2選
観光客があまり訪れない小さな街のクリスマスマーケットもおすすめです。ここからは、足を伸ばして行きたい穴場のクリスマスマーケットをご紹介します。
ボヘミア(チェコ)
チェコ共和国西部のボヘミア地方は、中世からの歴史的建造物と豊かな自然に恵まれた地域です。ボヘミア地方の中心にあるチェコの首都プラハから、バスで約1時間半~2時間半程の距離にあるチェスケー・ブジェヨヴィツェとチェスキー・クルムロフは、ドイツやオーストリアの主要なクリスマスマーケットとは異なる、趣のあるクリスマスマーケットが楽しめます。
チェスキー・クルムロフは中世の美しい街並みが世界遺産にも指定されている街で、世界で最も美しい街の一つと言われています。チェスキー・クルムロフのクリスマスマーケットは、街の中心にあるスヴォルノスティ広場で11月下旬から1月上旬まで開催されています。
クリスマスマーケット開催中は、地元の子ども達のクリスマスキャロルの歌唱会、ロックやフォークのコンサート、キリストを題材にしたミュージカル公演など、さまざまなイベントも行われています。
基本情報
開催期間 2025年11月22日~2026年1月4日
開催時間 金~日曜日 10:00~19:00、月~木曜日 11:00~18:00
チェスケー・ブジェヨヴィツェは、チェコ南部のマルシェ川とヴルタヴァ川の合流点に位置する南ボヘミア州最大の都市で、ビールの発祥地として世界的に有名です。13世紀中頃に設立された中世の街で、旧市街には現在でも美しい歴史的建造物が数多く残っています。
チェスケー・ブジェヨヴィツェのクリスマスマーケットは、旧市街地にあるプシェミシル・オタカル二世広場で開かれます。広大な広場には、木製のスタンドが多数立ち並び、クリスマス・グッズ、伝統工芸品、クリスマス用のお菓子、温かいドリンクなどを提供しています。広場の中央にあるサムソン噴水の周りにはスケート場も設置されます。
基本情報
開催期間 2025年11月17日~2026年1月5日
開催時間 不明
ブラチスラヴァ(スロバキア)
ブラチスラヴァはスロバキアの首都で、ハンガリーとオーストリアとの国境の近くのドナウ川沿いにあります。ウィーンから電車でわずか1時間なので、日帰りでも訪れやすいでしょう。
ブラチスラヴァの旧市街は18世紀頃に建設されたカラフルな歴史的建造物が多く残っており、おとぎ話に出てくる街のような可愛らしさがあります。
ブラチスラヴァのクリスマスマーケットは、旧市街地にあるメインスクエア(Hlavné Námestie)をはじめ、フヴィエズドスラヴォヴォ広場、ブラティスラヴァ城などで開催されています。
メインスクエアのクリスマスマーケットは赤と白のテント屋根で覆われた木製の屋台が立ち並び、スロバキア料理やクリスマス用の焼き菓子などが販売されています。
クリスマスマーケット期間中は、夜間に広場に面する時計台に登ることができ、巨大なクリスマスツリーとマーケットを上空から眺められます。
基本情報
開催期間 2025年11月27日~2026年1月6日、12月24日~26日は休み
開催時間 毎日 10:00~20:00
ヨーロッパのクリスマスマーケットでおすすめのグルメ6選

クリスマスマーケットの冬ならではの食べ物や飲み物です。特に寒い季節なので、身体を温めてくれるグルメがたくさんあります。
グリューワイン(Glühwein)
グリューワインは、ドイツ発祥のホットワインです。赤ワインや白ワインに、シナモン、クローブ、オレンジ、はちみつなどを加えて温めて作ります。香辛料とアルコールの効果で身体がポカポカと温まるため、クリスマスマーケットには欠かせないドリンクです。
ハイセ・ショコラーデ(Heiße Schokolade)
子どもたちに人気のハイセ・ショコラーデは、いわゆるホットチョコレートです。たっぷりのチョコレートをミルクに溶かした濃厚なドリンクで、ホイップクリーム、マシュマロ、シナモンパウダーなどをトッピングして楽しみます。
アイヤープンシュ(Eierpunsch)
アイヤープンシュはドイツ風の玉子酒です。アルコール・卵黄・砂糖から作られたアイヤーリキュールをベースに、白ワイン、ラム酒、バニラ、シナモンなどを加えて温めて作ります。カスタードクリームのような濃厚な甘さとクリーミーさが魅力です。
ブラートヴルスト(Bratwurst)
ドイツの国民食とも言えるブラートヴルストは、クリスマスマーケットでも人気のメニューです。仔牛肉、豚肉、牛肉で作られたソーセージをグリルで焼いたものを、ロールパンに挟み、マスタードやザワークラウトをトッピングして食べます。ニュルンベルクではハーブの効いた短めのソーセージを3本挟むなど、地域ごとに味わいやスタイルが違うので、各地のクリスマスマーケットで食べ比べしてみましょう。
ダンプフヌーデル(Dampfnudel)
ダンプフヌーデルは、フワフワの蒸しパンに温かいバニラソースをかけたデザートです。お好みでフルーツソース、ケシの実などをトッピングできます。温かくて甘いので、体がポカポカと温まります。
ワッフル(Waffeln)
クリスマスマーケットでは、その場で焼く焼きたてワッフルも人気です。トッピングには温めたチョコレートソースやチェリーソース、アイヤープンシュに使われるアイヤーリキュール、生クリームなどを選べます。
ヨーロッパのクリスマスマーケットを楽しむためのポイント
クリスマスマーケットを楽しむためには、いくつかのポイントがあります。まず、ヨーロッパの冬の寒さは厳しいため防寒対策が欠かせません。また、夜間に人混みの多い場所を出歩くため、スリなどの防犯対策も重要です。
防寒アイテムを身につける
クリスマスマーケットは日中にも開催されていますが、やはりイルミネーションが灯る夜間の方が雰囲気があります。しかし、クリスマスシーズンのヨーロッパ諸国の夜間の気温は0度や氷点下数度になることも多く、雪が降ることもある本格的な冬の寒さです。
クリスマスマーケットに行く際には、厚手のコート、マフラー、手袋、ニット帽子などを着用しましょう。海外でも購入可能ですが、日本からカイロを持っていくのもおすすめです。
スリに注意する
クリスマスマーケットは観光客や地元の人が多く集まるため、人気の高いクリスマスマーケットでは通勤電車並みの人混みになることも少なくありません。残念なことに、観光客を狙ったスリも多く発生しているため、お財布やパスポートなどの貴重品には注意しましょう。
お財布やパスポートはチャックのある鞄に収納し、鞄は身体の前に持つようにしましょう。クリスマスマーケットではお買い物の際にお財布を出す機会も多くなるため、支払い用に小額の現金のみを入れたセカンド財布を持つのもおすすめします。
服装はブランド物や高価なアクセサリーは着用せず、シンプルで目立たない服装がおすすめ。また、スマホを盗まれないよう、歩きスマホをしない、ポケットなど簡単にアクセスできる場所に入れないなど、注意を怠らないようにしましょう。
まとめ
ヨーロッパでおすすめの定番・穴場クリスマスマーケットをご紹介しました。
クリスマスマーケットは観光客も多く集まるイベントですが、現地の人たちのクリスマス準備に欠かせない伝統行事です。寒い季節ならではのグルメや、クリスマスのイルミネーション、聖歌隊の合唱やコンサートなどの催し物もあり、大人も子どもも楽しめます。今回ご紹介した都市以外でも、ヨーロッパ各地でクリスマスマーケットは開催されています。
クリスマスシーズンにヨーロッパへ旅行するなら、ぜひ、各都市のクリスマスマーケット巡りをしてみてください。
◇経歴
東京出身。アメリカの大学を卒業後に現地企業にて12年勤務。子育てを機に退職し、現在はフリーライターをしています。
◇英語に関する資格
英検準1級
TOEIC875点
◇留学経験
アメリカ高校交換留学、アメリカの4年制大学卒
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
アメリカに住んで20数年!アメリカ以外にもカナダ、イタリア、フランス、スペイン、モロッコ、メキシコなど旅行経験あり。
◇自己紹介
高校での交換留学を機に、アメリカの大学へ進学、そのままアメリカで就職し、いつの間にかアメリカ在住20数年。趣味はガーデニングと美術館巡り。