オーストラリアへの留学や旅行を計画している方にとって、 体調管理は重要な課題です。
日本から常備薬や処方薬を持参する場合、オーストラリアは検疫に厳しい国として知られており、適切な手続きを踏まなければ没収や罰則の対象となる可能性があります。
この記事では、 オーストラリアに医薬品を持ち込む際の注意点、申請手続き、持参すべき市販薬、現地での購入方法について詳しく解説します。
渡航前にこれらのルールを理解し、トラブルなく医薬品を持ち込みましょう。
- オーストラリアに薬を持ち込むときの注意点
- 事前の持ち込み許可が必要な薬
- 持ち込みが禁止されている物質・医薬品
- 薬を持ち込む際の入国時の申請とその流れ
- 日本から持参した方がいい市販薬
- 現地で買える薬・購入方法
- まとめ
オーストラリアに薬を持ち込むときの注意点
先でも述べましたが、オーストラリアは世界でも 検疫が厳しい国のひとつです。食物や植物だけでなく、 医薬品も厳格な検査の対象となります。
基本的にオーストラリアへの入国者には 「旅行者向けの例外措置(Traveller's Exemption)」が適用され、一定のルールを守れば薬の持ち込みが認められています。
薬の持ち込みに関する基本ルール
オーストラリアに医薬品を持ち込む際は、以下の6つの基本ルールを必ず守りましょう。
2.処方薬は英文書類必須:医師からの英文処方箋か診断書を用意する
3.必ず税関申告:入国カードで申告し、税関で提示する
4.手荷物で持参:郵送は不可、機内持ち込みか預け荷物で持参する
5.自分用または家族用のみ:第三者のための持ち込みは禁止
6.最大3ヶ月分まで:それ以上は特別許可が必要
これらのルールを守ることで、オーストラリアへの入国時のトラブルを避けられます。特に 入国時には必ず医薬品の申告を行ってください。
英文の処方箋または診断書の準備
処方薬を持参する場合、 英文の処方箋を提示することが確実です。これには薬の名前、成分、用量、服用方法などの情報が含まれている必要があります。
また、現地の医師に自分がどのような薬を服用しているかを説明する際にも、英文の処方箋があると便利です。
さらに、 持病がある場合は、詳しい病名や薬の種類が書かれたリストを英文で作成しておくと良いでしょう。かかりつけの病院がある場合は、 病院名と医師の名前も記載しておくことをおすすめします。これにより、入国審査の際に質問された場合でもスムーズに対応できます。
事前の持ち込み許可が必要な薬
オーストラリアでは、一部の医薬品については事前に特別な許可が必要です。これらの薬を無許可で持ち込むと、入国時に没収されるだけでなく、 罰則の対象となる可能性もあるので注意が必要です。
事前許可が必要な医薬品
以下の医薬品や物質をオーストラリアに持ち込む場合は、事前に許可を取得する必要があります。
2.中絶薬(ミフェプリストン、RU486など)
3.サリドマイド
4.人・動物由来成分を含む注射剤(ハイゼントラやクレキサンなどの注射薬(ただしインシュリンは除く)
5.選手やスポーツ関係者が持ち込むホルモンやペプチド成分を含む医薬品
6.3ヶ月分以上の医薬品
これらの医薬品を持ち込む予定がある場合は、 オーストラリア保健省のDrug Control Section(DCS@health.gov.au)に事前に問い合わせ、指示に従ってください。
3ヶ月分以上の薬を持ち込む場合の手続き
3ヶ月以上の薬を持ち込む必要がある場合は、 事前の許可申請が必要です。
まず、日本の医師から英文の処方箋や病状説明のレターを取得しましょう。これに加えて、オーストラリアで登録している医師を通じて、 Therapeutic Goods Administration (TGA) への特別許可申請を行う必要があります。
申請の際は、 日本の医師による英文診断書があるとより円滑に進みます。申請が承認されたら、 入国時に入国カードで必ず薬の申告を行ってください。
基本的には「オーストラリアで購入できない薬の場合は許可が出る可能性がある」と考えておきましょう。
持ち込みが禁止されている物質・医薬品
オーストラリア政府によって明確に持ち込みが禁止されている医薬品や物質があります。これらは事前許可の対象外であり、一切の持ち込みが認められていません。
以下の物質・医薬品はオーストラリアへの持ち込みが禁止されています。
2.アミグダリン/レートリル
3.大麻ならびに大麻派生品
これらの物質を持ち込んだ場合、以下のような厳しい罰則が設けられています。
・最大10年の懲役または最大420,000ドル(約3,300万円)の罰金
・取得したビザの無効化
・その後のビザ申請に対する制限(数年間入国できないなど)
・次回入国時の厳格な検疫(記録が残るため)
これらの罰則は非常に厳しいものであり、「知らなかった」という言い訳は通用しないため、渡航前にしっかりと情報を確認しましょう。
薬を持ち込む際の入国時の申請とその流れ
オーストラリアに医薬品を持ち込む際には、入国時に正しく申請することが非常に重要だということをお伝えしてきました。
ここでは入国時の申請方法と税関での流れについて詳しく説明します。
入国カードでの申告方法
医薬品の申告は、 オーストラリアの入国カードで行います。日本からの便では基本的に日本語の入国カードが機内で配布されますが、英語のカードが配布される場合もあります。
入国カードの表面右側にある質問項目で、「禁止または規制されている物、医薬品、ステロイド、不法わいせつ物、鉄砲、武器、不法な薬物」の質問に対して 「はい」と答える必要があります。
英語版では 「Goods that may be prohibited or subject to restrictions, such as medicines, steroids, illegal pornography, firearms, weapons or illicit drugs?」の項目です。
この申告を忘れると、 持ち込みが認められている常備薬でも没収されることや、重い罰則または罰金が科せられる場合があるため注意しましょう。
税関での申告の流れ
オーストラリアの空港で預け入れ荷物を受け取った後に税関があります。申告するものがある場合は、 「Declaration(申告)」の列に進みます。
税関申告時に必要なものは以下の3点です。
2.持参した薬
3.英文の処方箋や診断書(処方薬の場合)
ここで、入国カードを提出し、薬と必要書類を見せます。この際、 薬の用途などについて質問されることがあるため、 英語で説明できるよう準備しておくと良いでしょう。
日本から持参した方がいい市販薬
オーストラリアでも薬は購入できますが、日本の薬に慣れている方や、特定の薬を常用している方は、日本から持参した方が安心です。
ここでは、日本から持参すると便利な市販薬を紹介します。
・風邪薬・解熱鎮痛剤:
パブロンやルルなど、風邪の諸症状(頭痛、鼻づまり、のどの痛みなど)に対応する総合風邪薬
・胃腸薬:
キャベジンや太田胃散など、食べ慣れない食事により胃腸の調子を崩したとき用
・その他:
酔い止め、かゆみ止め、アレルギー薬など
ただし、液体タイプのかゆみ止めなどは、機内持ち込み手荷物の液体制限に引っかかる可能性があるため、チェックイン荷物に入れるようにしましょう。
現地で買える薬・購入方法
オーストラリアでも様々な薬が購入可能です。特に長期滞在の場合、日本から持参した薬がなくなった時のために、現地での薬の購入方法を知っておくと便利です。
オーストラリアの薬局(ケミスト/ファーマシー)
オーストラリアでは薬局のことを 「Chemist(ケミスト)」または 「Pharmacy(ファーマシー)」と呼びます。主要な薬局チェーンは以下の通りです。
オーストラリア最大の薬局チェーンで、比較的安価に薬を購入可
2.PRICELINE PHARMACY:
化粧品なども取り扱う大型薬局チェーン
両方ともオーストラリア全土に店舗を展開している、誰もが知る薬局チェーンです。
オーストラリアで購入できる主な薬
・解熱剤/鎮痛剤:Panadol
Panadolはオーストラリアでもっとも一般的な解熱鎮痛剤で、有効成分はパラセタモール。頭痛や発熱、軽い痛みに効果的で、薬局やスーパーで処方箋なしで購入できます。
・下痢止め:Imodium
Imodiumはオーストラリアで一般的な下痢止め薬で、有効成分はロペラミド塩酸塩。旅行者の下痢や食あたりによる急性の下痢症状を素早く緩和します。
・胃薬:Sodium bicarbonate
胃酸を素早く中和する制酸剤です。即効性があり胸焼けに効果的ですが、作用時間は短めです。オーストラリアでは一般的な胃薬の成分として広く使われています。
・虫除け/虫刺され薬:Tea Tree Oil
Tea Tree Oilはオーストラリア原産の天然精油で、強い抗菌・抗炎症作用があります。虫刺されのかゆみ、軽い皮膚感染症、ニキビなどに効果的で、多くの薬局で購入できます。
上記で紹介した市販薬はオーストラリアの薬局で簡単に購入できますが、日本で処方された医療用医薬品を入手するには、 オーストラリアの医師による処方箋が必要です。
そのため、 日本のかかりつけ医から英文の処方箋や診断書をあらかじめ取得しておきましょう。
また、現地の薬局では店員とのコミュニケーションが必要になるかもしれません。 基本的な薬の名称や症状を英語で説明できるよう準備しておくと安心です。
まとめ
オーストラリアへの渡航を予定している方は、医薬品の持ち込みルールを理解し、必要な手続きを行うことで、トラブルなく入国し、健康管理を行うことができます。
特に常備薬が必要な方や処方薬を服用している方は、十分な準備と正しい申告を心がけましょう。
また、長期滞在の場合は、現地での薬の購入方法も把握しておくと安心です。健康に配慮して、オーストラリアでの留学や旅行をより充実したものにしてください。

◇経歴
日本の大手英会話スクール講師
オーストラリアで現地ツアーガイド
マレーシアの日本人学校で英会話講師
マレーシアの現地企業にて正社員勤務
◇留学経験
イギリス 1年 Wimbledon collegeなど
オーストラリア(ワーキングホリデー中) 1か月 Bond University
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
留学→アメリカ、イギリス、オーストラリア
旅行→イギリス、ヨーロッパの各国、アメリカ、オーストラリア、東南アジア各国など
仕事→オーストラリア、マレーシア
◇自己紹介
Webライターの大井にいなと申します。
独身時代に留学を経験し、国際結婚を機に多民族国家のマレーシアに住んでいます。
私の子供は生まれたときから複数の言語で育ち、オーストラリアの大学に留学して就職しました。
大人になってから英語を学び始めた自分との違いを実感しています。
自身の経験から、早期の言語習得の重要性や大人になってからの英語学習で必要なことなどを、できるだけわかりやすくお伝えしたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。