オーストラリアは、世界中から多くの移民を受け入れ、文化や価値観が融合する「多民族国家」として発展してきました。
その中でも特に注目すべきなのが、約6万年以上にわたりオーストラリアに住み続けてきた
先住民「アボリジナルピープル」です。
この記事では、オーストラリアの民族構成や歴史、そしてアボリジナルピープルの文化について詳しくご紹介します。
オーストラリアの概要
オーストラリアは、南半球に位置し、広大な国土と豊かな自然を誇る国です。
面積は約769万平方キロメートルと日本の約20倍で、世界で6番目に大きな国となっています。
気候は地域によって異なり、熱帯、砂漠性、温帯など多様な環境があります。
地理的特徴と基本情報
オーストラリアは大陸国家でありながら、自然環境が多様です。
北部は熱帯気候で湿潤なジャングルが広がり、中央部は乾燥した砂漠地帯、南東部は温帯気候で、四季がある地域もあります。
また、国土は州と特別地域に分かれており、各州によって気候や文化も異なります。
海岸線は約34,000kmと長く、美しいビーチやサンゴ礁が点在していることも特徴です。
主要都市とその役割
オーストラリアには複数の主要都市がありますが、それぞれが異なる役割と特徴を持っています。
・シドニー
オペラハウスやハーバーブリッジで有名な観光都市。ビジネスや金融の中心地でもあります。
・メルボルン
文化・芸術の都市で、国際的なスポーツ大会や映画祭が開催されます。
・ブリスベン
温暖な気候を活かした観光やリゾート産業が発展しています。ゴールドコーストにも近い立地です。
・パース
西オーストラリア州の中心都市であり、鉱業や資源関連の産業が経済を支えています。
オーストラリアの民族の割合
オーストラリアの多民族社会は、歴史を通じてさまざまな地域からの移民によって形成されてきました。
国勢調査によると、主な民族構成は以下の通りです。
ヨーロッパ系住民の歴史と現状
ヨーロッパ系住民は、オーストラリアの主要な人口層で、植民地化以降、社会の中枢を担ってきました。
最初に到来したのはイギリスの囚人でしたが、その後は自由移民や農業労働者が増加しました。
現在でも、イギリス、アイルランド、ドイツ、イタリアなどからの移民の子孫が多くを占めています。
アジア系移民の増加と影響
アジア系移民は、特に20世紀後半から増加しました。
移民政策の変化により、中国やインド、フィリピン、韓国などからの移民が増え、特にシドニーやメルボルンなどの都市部に集中しています。
アジア系移民の増加は、オーストラリアの文化、ビジネス、教育分野に多大な影響を与えています。
先住民とその他の民族の構成
オーストラリアの先住民はアボリジナルピープルとトレス海峡諸島民が含まれます。
また、アフリカ、中東、ラテンアメリカからの移民も少数ながら増加しており、多文化的な社会が形成されています。
オーストラリアが多民族国家になるまでの歴史
オーストラリアは現在、さまざまな民族が共存する多文化社会を形成しています。
しかし、ここに至るまでには長い歴史と移民政策の変遷がありました。
18世紀末、イギリスによる植民地化が始まり、ヨーロッパ系住民が中心の社会が築かれました。
その後、労働力確保や経済成長を背景に移民政策が変化し、特に1970年代以降に多文化主義が公式に導入されたことが、現在の多民族社会の基盤となりました。
植民地時代の移民政策
1788年、イギリスはニューサウスウェールズ州を流刑地として開設し、囚人を労働力として送り込みました。
その後、19世紀には自由移民が増加し、農業労働者や金鉱の発見によるゴールドラッシュが大きな移民の流入を促しました。
特に中国からの移民が増加しましたが、現地のヨーロッパ系住民との摩擦が生じ、一部の移民に対する制限政策が取られるようになります。
白豪主義とその影響
1901年のオーストラリア連邦成立と同時に、非ヨーロッパ系移民を排除する「白豪主義」が導入されました。
この政策は、英語による厳しい入国試験を設け、アジア系移民の流入を抑制するものでした。
第二次世界大戦後、労働力不足と国際的な人権意識の高まりを背景に、政策が段階的に見直され、1973年には白豪主義が完全に廃止されました。
多文化主義政策の導入と進展
白豪主義廃止後、オーストラリアは多文化主義を採用し、世界中からの移民を受け入れ始めました。
特にアジア、中東、南米からの移民が急増し、言語教育や雇用支援などの社会的プログラムが整備されました。
シドニーやメルボルンなどの都市部では、多国籍文化が根付き、経済・社会の発展に貢献しています。
現在では、多文化主義がオーストラリアの基本的な社会理念の一つとなっています。
オーストラリアの先住民「アボリジナルピープル」とは
オーストラリアの先住民であるアボリジナルピープル(Aboriginal People)は、オーストラリア大陸とその周辺の島々に住む先住民族で、約6万年以上にわたりこの地で生活してきたとされています。
彼らは世界最古の文明の一つとされ、非常に長い間、自給自足型の生活を続けてきました。
その生活は、自然との調和を重視し、土地や動植物を敬う精神に基づいています。
アボリジナルピープルの起源と歴史
アボリジナルピープルの起源については、アフリカ大陸から移動してきた人類の一部が、何千年もかけてオーストラリア大陸に到達したと考えられています。
彼らは海岸線や内陸部などさまざまな地域に定住し、それぞれ異なる文化や言語を発展させてきました。
一時は500以上の言語が存在したと言われていますが、植民地化の影響で多くの言語が失われました。
1788年にイギリスがオーストラリアを植民地化すると、アボリジナルピープルの生活は一変します。
土地が奪われ、ヨーロッパから持ち込まれた感染症が流行した結果、人口は急減しました。
また、同化政策の一環として「盗まれた世代(Stolen Generations)」と呼ばれる、先住民の子どもたちが家族から引き離される悲劇もありました。
現在のアボリジナルピープルの状況
現在、アボリジナルピープルはオーストラリアの全人口の約3.8%を占めています。
政府や地域コミュニティの支援により、文化の保存や教育支援、医療サービスの拡充が進められています。
多くのアボリジナルピープルが都市部に住む一方で、遠隔地に住む人々もいます。
地域によっては、依然として教育や医療へのアクセスが制限されており、社会的な格差が課題となっています。
政治の分野では、アボリジナルピープルの代表者がオーストラリア議会に進出し、土地の権利回復や差別撤廃に向けた政策を推進しています。
さらに、文化やスポーツなど多方面での活躍も目立っており、オーストラリアの社会において重要な役割を果たしています。
土地との深い結びつき
アボリジナルピープルにとって、土地は単なる生活基盤ではなく、精神的な存在でもあります。
彼らは土地を「母なる大地」として崇拝し、自然との調和を最優先とする文化を築いてきました。
土地には祖先の霊が宿ると信じられており、特定の場所は神聖な場所として保護されています。
この考え方は、現代の環境保護活動にも影響を与えています。
アボリジナルピープルの文化
アボリジナルピープルの文化は、6万年以上もの間、独自の伝統と知識によって受け継がれてきました。
彼らは自然との共生を重視し、土地や動植物を神聖視する考え方を持っています。
文化的表現は、芸術、音楽、儀式、物語など多岐にわたります。
これらの文化は、単なる芸術活動にとどまらず、コミュニティ全体を結びつける重要な役割を果たしています。
ドリームタイム(Dreamtime)とは?
ドリームタイムは、アボリジナルピープルの神話や創造物語を指します。
彼らの伝承によれば、遠い昔、祖先の霊的存在が世界を創造し、土地や動植物に魂を吹き込んだとされています。
ドリームタイムの物語は、各部族ごとに異なり、地域特有の自然現象や景観と深く結びついています。
これらの物語は、言葉や歌、絵画を通じて世代を超えて伝えられてきました。
ドリームタイムの概念は、現代においてもアボリジナルピープルのアイデンティティを支える重要な要素です。
特定の聖地や儀式的な場所では、今でもドリームタイムに基づいた祭りや儀式が行われています。
アボリジナルアートと文化的表現
アボリジナルピープルの芸術は、非常に独特であり、特に「ドットペインティング(点描画)」が有名です。
これらの絵画は、ドリームタイムの物語や自然とのつながりを表現しており、土地や生態系に関する深い知識を視覚的に伝えるものです。
また、岩絵や砂絵など、さまざまな手法が用いられており、地域によって異なるスタイルが存在します。
音楽の分野では、ディジュリドゥ(Didgeridoo)という伝統的な楽器が広く知られています。
ディジュリドゥは、木製の管楽器で、深く響く独特な音色が特徴です。
儀式や祭りでは、ディジュリドゥの演奏に合わせて踊りが披露され、コミュニティの結束を強める役割を果たしています。
現代における文化保存の取り組み
アボリジナルピープルの文化は、植民地化によって一時衰退しましたが、現在では復興の取り組みが進められています。
オーストラリア政府や教育機関、文化団体が連携し、言語や伝統技術の保存プログラムが実施されています。
また、観光地としてもアボリジナルピープルの文化が注目されており、先住民の文化体験ツアーやアート展覧会が開催されています。
若い世代のアボリジナルピープルも、文化継承に積極的に関わっています。
現代のメディアやアートを通じて、自らの文化を世界に発信する動きが広がっており、国際的な評価を受けるアーティストも増えています。
これにより、文化的な誇りとアイデンティティが再び強化されつつあります。
まとめ
オーストラリアは、移民の多様性と先住民の文化が融合した、多民族社会です。
留学を考えている方は特に、その国の歴史や背景をしっかり理解することで、リスペクトの気持ちがより高まるはずです。
「アボリジナルピープル」について理解を深め、オーストラリアの歴史を肌で感じてみてください!

◇経歴
・新卒で入社した貿易商社にて韓国語英語を使い貿易業務に従事。
・現在は大手総合情報サイトのカスタマーサクセス職に携わる傍ら、副業で韓国語・英語を使用しマーケティングチームの一員として奮闘中。
◇留学経験
・カナダに姉妹校をもつ国際的な高校に入学し、交換留学を経験。
・大学では国際学部を専攻し、国際情勢を英語で毎日学び、卒業論文も
英語で執筆。
・大学在学中に韓国外国語大学という韓国一外国人留学生の多い大学に
留学し、英語と韓国語を同時に学ぶ。
◇海外渡航経験
旅行:タイ、バリ、カナダ、韓国
◇自己紹介
小学生の時に、ナルニア国物語に出会い、英語に目覚めました。
英語が話せたら、色んな人と話せるだろうなぁ、自分の知らない世界を知ることができるんだろうなぁという幼い時に芽生えた純粋な心を今日まで忘れず、”語学”と共に生きてきました!
私は日本生まれ日本育ちですが、在日コリアンのルーツを持っています。第一言語は日本語ですが、母国語にも興味を持ち、小学5年生から独学で勉強をして韓国語検定6級を取得した過去もあります。
語学は人生を豊かにしてくれるものだと心から信じていますし、楽しさを自分のものだけにせず、誰かと分かち合いたい気持ちからライターとして活動を始めました!
今年からオーストラリアに拠点を移し、再度勉学に励みつつ、『自由に働く』ことを夢に掲げていますので、現地の最新情報なども発信できたら嬉しいです。