英語留学には語学学校または大学への留学、またインターンシップ留学やワーキングホリデーのように異なる種類があります。
ところで、皆さんは
ボランティア留学という留学をご存知ですか?
この記事では、フィリピン・セブ島でボランティア活動を通じて地域支援をしたり異文化を体験したりする「ボランティア留学」を解説します。
基本情報からボランティアの内容、参加することの意義から注意点など、幅広く紹介しましょう。
フィリピン・セブ島の基本情報
海外には、ボランティア留学のプログラムがある国がいくつかあります。特に自然が豊かなフィリピンのセブで行なわれるものについてみていきます。
まず、はじめにフィリピンのセブ島の基本情報を紹介しましょう。
セブ島の基本情報
セブ島のあるフィリピンは大小7,641の島々で構成されている国です。
このなかで一番の人気のある島がセブ島です。
セブ島の中心には大きな商業施設、セブ大学をはじめとする大学を含む50以上の教育に関する機関があります。
そして企業のオフィスもあり大変活気に溢れるとともに、白い砂浜を有する美しいビーチがあるリゾート地でもあることで多くの人が訪れる地となっています。
日本ーセブ島は直行便で約5時間30分で行けるため、ヨーロッパなどと比べとても近い外国です。
旅行者はセブ島でスパなど最高のリラクゼーション、美しいビーチの楽園でのマリンスポーツなどのアクティビティ、ショッピングやフィリピンの食文化を楽しむために訪れます。
セブの人口は約300万人、167の島で構成されているため、自然を感じながらリラックスするには最適な場所です。
一年を通して冬服要らずの25~33度という気温も、快適に過ごすために大きな要素になっています。
そして、タガログ語とともに英語が公用語であることから、セブ島は英語留学の受け入れ先として人気の目的地でもあります。
セブ島のボランティア団体を紹介
フィリピンは経済的に発展途上国であり、貧困と格差の問題があります。 そのため、ボランティアたちの力が必要であり、彼らの活動が盛んな環境です。
セブ島のイメージがつかめたところで、ここでは現地にどのようなボランティア団体が存在するのか紹介しましょう。
4つの団体について、活動やボランティア留学の内容についてみていきます。
Go Cebu
Go CebuもしくはStrategic Livelihood Projects Cebu(SLPC)としてセブの政府に登録されている団体です。
セブの貧困地区に住む子供のために食・教育・職に関する支援を行なっています。
Go Cebuでは、日本人が参加できるボランティアプログラムを用意し、受け入れる態勢が整っています。
SLPC日本事務局の池頭氏は、セブを観光で楽しむために訪れた2005年、スラム街を目にし、それまで持っていたリゾート地としてのセブのイメージとのギャップを目の当たりにします。
そこから、ボランティア活動に向かって行動を起こしました。
ボランティア活動は週末にする炊き出しや日本語教育等になり、参加を希望する人はウェブサイトから申し込みをすることになります。
参加者は費用として1回500ペソを支払います。
このお金は、食事提供の食材費や学校に通学するために必要なものの購入などに利用されます。
Daredemo Hero
2つ目はDaredemo Heroという面白いネーミングの団体です。
タレントの山田まりやさんも息子さんとここのボランティアに参加されました。
最貧困の地域への支援として、子どもたちに学ぶ機会と喜びを提供しています。
そして、日本とフィリピン両国の若者が交流する機会も提供しています。
異なる文化を交流させお互いを高めあうことを目的としています。
7泊8日のスタディーツアーやインターンといった選択肢も用意されています。
Glolea Cebu
Glolea Cebuはセブを拠点に、ストリートチルドレンや劣悪な環境に住む子供達の教育と食育に関するボランティア活動である国際協力を行なう団体です。
ゴミのなかから売れるものを探しそれらを売ることで生活していたり、路上で寝泊まりしていたりという生活を変えるための行動です。
小学校などでの食事配給ボランティアや、母親の収入をサポートするための活動も提供しています。
Glolea Cebuではこれらの活動へのボランティア、スタディーツアーやインターンなどへの参加を募集しています。
Cebu English Center
海外ボランティア活動を行なうCebu English Center(CEC)では、6泊7日でボランティアを行なうプログラムがあります。
特徴は、高校生を対象としたプログラムという点です。いくつかのNGO活動に参加し、現地で実際に子供たちと交流をします。
必要であれば、参加証明書の発行もしています。
子供達にとっても大人だけでなく、ティーンとの触れ合いは貴重なものとなるでしょう。
学生が対象ということで、日程は春休みや夏休みを利用した設定となっています。
参考:Cebu English Centerウェブサイト(日本語)
ここまで、4つの団体と彼らの活動を紹介しました。
すべて日本語のウェブサイトがあることからも、新しい活動ではなくこれまで皆さんのように海外でのボランティアを考え実行してきている人々がいるということです。
次では、なぜセブ島でボランティアをする意義があるのか、この点についてみていきましょう。
なぜフィリピン・セブ島でボランティアをするの?
旅行ではなく、ボランティアとして海外に行くことは全く異なる経験になります。
どのような意義があって、どういった体験を得られるのか紹介しましょう。
ボランティアで貴重な経験を得る
皆さんは、日本国内でボランティアをしていますか?ボランティアは誰かから頼まれてするものではなく、自ら自分ができる範囲でする行為です。
自分で決め、セブ島でボランティアをすると決心した時点で自分への挑戦が始まるということですね。
最初のボランティア体験として、セブでは週末や1週間といった期間でするものであり、短期間ということでチャレンジできる素晴らしい環境があります。
経験のないことには何かと緊張感がつきまといますが、現地に行き、実際に子供たちの笑顔を見て自分の活動が少しでも役に立っていることを実感すれば不安は吹き飛ぶでしょう。
そういった時間を過ごすことは日本では経験できない貴重なものとなり、自分への自信につながっていきます。
セブにおける貧困という世界情勢の一部を見て、そして実際に関わる経験も大切なものとなるでしょう。
英語でのコミュニケーション
現地セブでは、英語のコミュニケーションが基本です。
クラスに行き、椅子に座って学ぶレッスンとはまた違う会話が発生します。
英語力に加えて積極的に何をすべきかを考える思考力が必要とされます。
積極的になればなるほど、それらを英語で表現するための毎日はかなりの英語を使う機会となります。
語学学習とボランティア活動の両方が可能となるのがセブ島に行くメリットとなります。
高校生という若い年齢でできるプログラムがあることもセブに行く理由となります。
将来の方向性を考える機会
SLPC日本事務局の池頭氏が得た体験のように、セブ島では日本とは異なる風景があります。
国際協力の一端を担うことで、将来の方向性が見えてくるかもしれません。
なお、海外の学生は積極的にボランティア活動をしています。
筆者の住むイギリスでは、ボランティアは特別なものではなく大変活発です。
学生にとっては、大学入学のためのパーソナルステイトメントにボランティア体験を書いたり、大学生としてボランティア活動をするために、どんどん外に出ていきます。
このような体験をし、個々が成長していきます。
そういったボランティア経験をし、フリーの時間にセブのビーチでリラックスすれば、自分のことを考える時間になるかもしれません。
ボランティアの際に気をつけること
フィリピンでは、国民の20%以上が貧困層と言われています。
セブ島には海沿いに、日本には存在しないスラム街があります。
スラム街とは、公共のサービスやインフラが整っておらず、貧困層である人々が密集して生活するエリアを指します。
その場に立ち入れば、独特の匂い、雑多なストリートなど目にして衝撃を受けるかもしれません。
このような場所でボランティアをするときに気をつけたいことがあります。
地元の人をリスペクトする
スラム街の存在はフィリピンでは大きな社会問題です。
2020年以来、フィリピン政府はセブからスラム街を無くす計画をたて取り組んできています。
街を買収して新しく住居や商業施設を建設するといったものです。
しかし、そこにいた人々を強制的に排除するなど、根本的な解決にはなっていません。
このような状況を理解し、かわいそうだからヘルプをすると考えるのではなく、彼らがどう自立していくかが重要であることを意識します。
ボランティアとして訪れ、その人たちの現状やセブの状態を知り、現地の人と一緒に状況を変えていくお手伝いができると素晴らしいです。
そして、ボランティアをする人がされる人を下に見るような感覚は間違っても持たないよう注意してください。
犯罪に巻き込まれない
フィリピン国内ではセブは比較的治安が良いほうです。
それでも、ひったくりやスリなどの軽犯罪は起こっています。
また、ストリートチルドレンによってお金をねだられたり、パスポート、携帯やお財布を擦られるケースもあります。
被害にあえば、せっかくセブでボランティアをするという決断がネガティブなものになってしまうこともあります。
貧困地域ということを頭に入れた行動をとり、犯罪に巻き込まれないように重々気をつけましょう。
まとめ
本記事では、フィリピン・セブ島の「ボランティア留学」について紹介しました。
語学学校とボランティア活動を組み合わせれば、貴重な体験の継続といった毎日になるでしょう。
国際的な環境で緊張感のある時間を過ごした後、リフレッシュするのにセブの海は最高ですし、それらが揃っているのがセブ島です。

◇経歴
日本では外資系製薬会社などで勤務。
2006年夏に渡英し、現在イングランド在住。
2012年以来、南ロンドンで剣道道場を運営。地元の行政と関わり、日本文化を紹介するイベントを担当したり、剣道や居合道のデモンストレーションのオーガナイスを行なう。
また、日本の2大学と英国剣道協会とのパートナーシップ締結のためのリエゾンおよび翻訳・通訳を担当。
◇資格
・Food Safety Level 2
・Principles of Internet Safety Prepare to Deliver Excellent Customer Service
◇海外渡航経験
スキューバダイビングで訪れた国々を始め、3ケ月間のヨーロッパ各国バックパッカーの旅を経験。
◇自己紹介
こんにちは!椿サリーです。夫がイギリス人、日英ミックスの息子(UK大学生)という家族構成の国際結婚組です。ライターとして、多国籍メンバーが所属する剣道道場の女将として、日本文化紹介を紹介する地元グループ代表として行政とのやりとりなど、イギリスで幅広く活動しています。英会話ができると世界が広がりますし、外国人とのコミュニケーションは楽しい!を日々実感しています。