海外の取引先との会議で「通訳をお願いします」と言おうとして、translate という単語が口をついて出た経験はないでしょうか。

意味は通じます。ただ、通訳者の前でこれを言うと、少し違和感を持たれることがあります。英語では「話された言葉を訳す」ことと「書かれた言葉を訳す」ことが、別の単語で区別されているからです。

この記事では「通訳」に関する英語表現を、interpret と translate の違いを軸に整理します。

この記事のまとめ・結論

「通訳」は英語で interpretation、「通訳する」は interpret、「通訳者」は interpreter です。

混同しやすい translate は話し言葉にも使えますが、実務では書かれた文書を訳す「翻訳」を指すのが一般的です。

話し言葉なら interpret、書き言葉なら translate。これで、ほとんどの場面は迷いません。

この記事でわかること
  • 「通訳」「通訳する」「通訳者」それぞれの英語と発音
  • interpret と translate を、何を基準に使い分けるのか
  • 同時通訳・逐次通訳の言い方と、通訳をお願いする英語フレーズ
 

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1. 「通訳」と「翻訳」の英語 早見表

まず全体像を押さえましょう。縦が通訳・翻訳、横が名詞・動詞・人です。

通訳と翻訳の対応関係
  名詞 動詞
通訳(話し言葉) interpretation interpret interpreter
翻訳(書き言葉) translation translate translator

この6語がきれいに対応しています。あとは「話し言葉か、書き言葉か」を基本の判断軸にすれば、選ぶ単語が決まります。

2. 「通訳」「通訳する」「通訳者」を英語で言うと?

interpretation|名詞の「通訳」

「通訳」という行為そのものを指す名詞です。発音記号はイギリス英語で /ɪnˌtɜː.prəˈteɪ.ʃən/、アメリカ英語で /ɪnˌtɝː.prəˈteɪ.ʃən/。カナ表記は「インタープリテイション」で、アクセントは「テイ」にあたる -ta- の位置に置かれます。

Simultaneous interpretation requires a lot of concentration.

同時通訳には高い集中力が必要です。

The interpretation fee was higher than we expected.

通訳料金は想定より高額でした。

なお interpretation には「解釈」「説明」という意味もあります。この点は後ほど詳しく触れます。

interpret|動詞の「通訳する」

「通訳する」は interpret です。発音記号はイギリス英語で /ɪnˈtɜː.prət/、アメリカ英語で /ɪnˈtɝː.prət/、カナ表記では「インタープリット」に近い音になります。in ではなく第2音節の ter にアクセントがある点が、日本人には落としやすいポイントです。

自動詞としても他動詞としても使えます。

Could you interpret for me at the meeting?

会議で通訳してもらえますか。

She interpreted his speech into Japanese.

彼女は彼のスピーチを日本語に通訳しました。

活用は interprets / interpreting / interpreted と規則変化します。

interpreter|「通訳者」

interpret に「〜する人」を表す -er がついた形です。発音記号はイギリス英語で /ɪnˈtɜː.prə.tər/、アメリカ英語で /ɪnˈtɝː.prə.t̬ɚ/、カナ表記は「インタープリター」となります。

We hired an interpreter for the negotiation.

交渉のために通訳者を手配しました。

My sister works as an interpreter at international conferences.

姉は国際会議で通訳者として働いています。

interpreter にも「解釈者」「解説者」の意味があり、IT分野ではプログラムを逐次実行する「インタプリタ」を指すこともあります。

interpreting|動名詞での言い方

interpret の動名詞 interpreting も、「通訳(すること)」を表す名詞として使われます。特に、通訳という活動や専門分野を指す語として広く使われています。

Interpreting between two languages is mentally exhausting.

2言語間の通訳は精神的に消耗する作業です。

3. interpret と translate は何が違う?

ここが本題です。日本語では「訳す」でまとめられる2語を、英語は明確に分けています。

判断基準は「話し言葉か、書き言葉か」

interpret は、話された言葉を訳すときに使います。 会議・商談・観光案内など、その場で音声を別の言語に置き換える行為です。

translate は、書かれた文書を訳すときに使うのが一般的です。 契約書、書籍、ウェブサイトなどが対象になります。

Can you translate this contract into English?

この契約書を英語に翻訳してもらえますか。

Could you interpret his comment into Japanese?

彼のコメントを日本語に通訳してもらえますか。

translate は話し言葉にも使えるが、逆は成り立たない

やや込み入っていますが、押さえておくと精度が上がる点があります。

英英辞書の定義では、translate は書かれた言葉と話された言葉の両方を対象にできるとされています。実際、日常会話で「今の、訳して」という意味で translate が使われることは珍しくありません。

一方で interpret を、文書を別の言語に訳す意味で使うことは通常ありません。たとえば「この書類を英語に翻訳してください」という意味で Please interpret this document into English. とは通常言いません。

つまり2語の関係は対等ではありません。「訳す」という意味の範囲では translate のほうが広く、interpret は話し言葉が対象になる、という構造です。

translator と interpreter は職業としては別の仕事

動詞以上に区別が意識されるのが、職業名です。

  • interpreter:会議や商談で、その場の発言を口頭で橋渡しする人
  • translator:文書や書籍を、時間をかけて訳す人

求められるスキルも働き方も異なるため、通訳者を translator と呼ぶと訂正されることがあります。冒頭で触れた違和感は、ここから生まれます。

Are you an interpreter or a translator?

通訳者ですか、それとも翻訳者ですか。

なお会話中に頭の中で訳す癖から抜け出したい場合は、こちらも参考になります。

使い分け早見表

訳す対象別の使い分け
訳す対象 使う動詞
会議での発言 interpret 商談・国際会議・観光案内
スピーチ・インタビュー interpret 記者会見・式典
契約書・マニュアル translate ビジネス文書全般
書籍・記事 translate 出版翻訳
会話の内容(口語的に) translate も可 「今の訳して」

4. interpret のもう一つの意味「解釈する」

interpret には「説明する」「解釈する」という意味もあります。この語は古くから、意味を解き明かすことと、別の言語に訳すことの両方に使われてきました。

この語義は日常会話でも使われるので、あわせて覚えておくと表現の幅が広がります。

I interpreted her silence as disagreement.

私は彼女の沈黙を反対の意思だと解釈しました。

The data can be interpreted in several ways.

そのデータは複数の解釈ができます。

通訳が単なる単語の置き換えではなく、話し手の意図をくみ取って伝える仕事であることを考えると、この2つの意味がつながっているのも納得できます。

違いがわかっても、とっさに言えるかは別

interpret と translate の線引きは、読めば理解できます。ただ会議中に「Could you interpret that?」と口に出せるかどうかは、練習した回数で決まります。

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5. 通訳の種類を英語で言うと?

通訳には方式がいくつかあり、それぞれ英語名があります。ビジネスで通訳を手配する場面では、この区別が必要になります。

simultaneous interpretation|同時通訳

話し手の発言とほぼ同時に訳していく方式です。国際会議では、通訳ブースやヘッドセット、マイクを使う形が一般的です。

The conference will provide simultaneous interpretation in three languages.

その会議では3言語の同時通訳が提供されます。

consecutive interpretation|逐次通訳

話し手が数文話して区切り、そのあいだに通訳者が訳す方式です。商談や少人数の会議で使われます。同時通訳より時間はかかりますが、専用の機材を必要としない点が特徴です。

We'll use consecutive interpretation for today's meeting.

本日の会議は逐次通訳で進めます。

whispered interpretation|ウィスパリング通訳

通訳を必要とする人のそばで、小声で訳す方式です。フランス語由来の chuchotage という呼び方もあります。

She provided whispered interpretation for the two guests.

彼女は2名のゲストにウィスパリング通訳をしました。

sight translation|サイトトランスレーション

目の前の文書を、その場で口頭で訳す方式です。書かれたものを扱うため translation という語が使われますが、実際には口頭で行われます。通訳者の訓練法としても知られています。

He did a sight translation of the agenda.

彼は議題をその場で口頭で訳しました。

6. 通訳をお願いする・申し出る英語フレーズ

実際の場面で使えるフレーズを、状況別に整理します。

通訳が必要だと伝える

I'm afraid my English isn't good enough.

Could we have an interpreter? 英語に自信がないので、通訳をお願いできますか。

We'd like to arrange an interpreter for the meeting.

会議に通訳を手配したいのですが。

その場で訳を頼む

Could you interpret that into Japanese for me?

今のを日本語に通訳していただけますか。

Would you mind interpreting that for me?

今のを通訳していただけますか。

自分が通訳を申し出る

I can interpret for you if you'd like.

よろしければ通訳しますよ。

Let me interpret that into Japanese.

今のを日本語に通訳しますね。

7. 「通訳」に関連する英語表現

あわせて覚えておきたい周辺表現を整理します。

  • hire an interpreter|通訳を雇う
  • work as an interpreter|通訳を務める
  • through an interpreter|通訳を介して
  • need an interpreter|通訳が必要である
  • sign language interpreter|手話通訳者
  • interpretation booth|通訳ブース

>

The president answered questions through an interpreter.

社長は通訳を介して質問に答えました。

手話は国によって異なる言語です。各国の手話の違いはこちらで紹介しています。

8. よくある質問

「通訳する」は interpret と translate のどちらですか?

話された言葉を訳すなら interpret です。translate も話し言葉に使えますが、書かれた文書を訳す「翻訳」の意味で使われることが多いため、通訳の場面では interpret のほうが誤解が生じにくくなります。

通訳者を translator と呼ぶのは間違いですか?

文法的な誤りではありませんが、職業としては別の仕事を指します。通訳者は interpreter、翻訳者は translator です。本人を前にして呼び分けを間違えると、訂正されることがあります。

「同時通訳」と「逐次通訳」は英語で何と言いますか?

同時通訳は simultaneous interpretation、逐次通訳は consecutive interpretation です。同時通訳については simultaneous translation という言い方が使われることもあります。

interpretation に「解釈」の意味があるのはなぜですか?

interpret という語が、古くから「意味を解き明かす」ことと「別の言語に訳す」ことの両方に使われてきたためです。名詞形の interpretation も同じ2つの意味を持ちます。文脈によってどちらの意味かが決まるため、読み取りには注意が必要です。

9. まとめ

「通訳」まわりの英語は、6語の対応関係を押さえれば整理できます。

  • 通訳(話し言葉):interpretation / interpret / interpreter
  • 翻訳(書き言葉):translation / translate / translator

基本的な判断基準は「話し言葉か、書き言葉か」です。会議での発言なら interpret、契約書なら translate。この基準さえ持っておけば、単語を思い出す前に答えが絞り込めます。

あわせて、同時通訳は simultaneous interpretation、逐次通訳は consecutive interpretation という2語を覚えておくと、通訳を手配する場面でも困りません。

6語の対応関係は、使う場面があって定着する

interpretation / interpret / interpreter の3語も、表で眺めているうちは知識のままです。誰かに通訳を頼む場面があって、初めて自分の言葉になります。

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