「総合的に判断すると」を英語で言おうとして、comprehensive が思い浮かんだ経験はないでしょうか。

この場面では、それは適切ではありません。日本語の「総合」を英語にするとき、特によく使うのが comprehensive / overall / general / total の4語です。どれを選ぶかで意味が変わります。comprehensive を使うと「抜けなく網羅している」という意味になり、「全体を見て判断した」というニュアンスは伝わりません。

なお「総合」はこの4語以外に、integrated(統合された)や composite(複数の要素から成る)などになることもあります。この記事では代表的な4語に絞って整理します。

この記事では comprehensive / overall / general / total の4語を、選び方の基準から整理します。

この記事のまとめ・結論

日本語の「総合」は、網羅性なら comprehensive、部分に対する全体なら overall、一般的・全般的なら general、数量の合計なら total が候補になります。

「総合的に判断すると」のように全体を見た評価を述べる場面では、comprehensive ではなく overall が適切です。

この4語の役割分担を押さえると、主要な場面で選びやすくなります。

この記事でわかること
  • 「総合」を表す4語それぞれの中心的な意味と、使う場面
  • comprehensive と overall が入れ替えられない理由と、具体例
  • 総合評価・総合得点・総合病院など、定型表現の英語
 

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1. 「総合」を表す4つの英語 早見表

先に全体像を確認します。「何を総合と呼んでいるのか」で選ぶ語が決まります。

「総合」を表す4語の使い分け
単語 中心的な意味 使う場面の例
comprehensive 漏れなく網羅している 包括的な計画・網羅的な調査・総合保険
overall 部分に対する全体 総合評価・総合順位・全体としての印象
general 一般的・全般的 総合病院・総合商社・一般論
total 数量の合計 総人口・合計金額・総得点

以下、1語ずつ見ていきます。

2. comprehensive|漏れなく網羅していることを表す

comprehensive の中心にあるのは「中身に抜けがない」という感覚です。何かを説明するときに、必要な要素をすべて含んでいる状態を指します。

comprehensive の発音とアクセント

発音記号はイギリス英語で /ˌkɒm.prɪˈhen.sɪv/、アメリカ英語で /ˌkɑːm.prəˈhen.sɪv/。カナ表記では「コンプリヘンシヴ」に近く、アクセントは3音節目の hen にあります。頭の com を強く読みがちなので、注意が必要です。

「包括的な」として使う

もっとも一般的な使い方です。計画・調査・報告書などが、必要な範囲をすべてカバーしていることを表します。

We need a comprehensive review of the current process.

現在のプロセスについて、網羅的な見直しが必要です。

The survey was comprehensive but took six months.

その調査は包括的でしたが、6か月かかりました。

保険の分野では comprehensive insurance が「総合保険」を指します。補償の対象を幅広く含む保険という意味です。ただし国や保険の種類によって comprehensive が指す補償範囲は異なります。たとえばアメリカの自動車保険では、comprehensive coverage は衝突以外の損害を対象とする区分で、衝突による損害を扱う collision coverage とは別に扱われます。「総合=すべて補償」と単純に理解しないほうが安全です。

辞書にある「理解力のある」という語義

辞書によっては、comprehensive に「広い理解力を持つ」という語義も掲載されています。ただし限定的な用法で、学習者が積極的に使う必要はありません。読解で出てきたときに意味を取れれば十分です。

なお a comprehensive grasp of the subject のような形は、この語義ではありません。「その分野についての、包括的な理解」という意味で、comprehensive は grasp(理解)の広さを説明しています。

extensive・thorough との違い

comprehensive と似た語に extensive と thorough があります。訳語が重なるため、混同しやすい組み合わせです。

comprehensive・extensive・thorough の違い
単語 強調する点
comprehensive 必要な範囲をすべて含んでいる
extensive 規模や量が大きい
thorough 細部まで手を抜いていない

「あらゆる項目を含んだ調査」なら comprehensive、「大規模な調査」なら extensive、「細部まで丁寧な調査」なら thorough です。

comprehensively(副詞)の使い方

副詞形は comprehensively です。「網羅的に」「徹底的に」と訳されます。動詞を修飾して、その行為に抜けがないことを示します。

The team investigated the issue comprehensively.

チームはその問題を徹底的に調査しました。

3. overall|部分に対する全体を表す

overall の中心にあるのは「部分ではなく全体」という視点です。個々の要素を踏まえて、まとめとしてどうなのかを述べるときに使います。

日本語の「総合」がこの意味で使われる場面は多く、ビジネスの会話では登場する機会が豊富です。

形容詞の overall

形容詞の overall は、名詞の前に置いて「全体の」「総合の」を表します。

Our overall score improved by 12 points.

総合得点が12点上がりました。

He finished third in the overall ranking.

彼は総合順位で3位に入りました。

「総合評価」は overall evaluation または overall assessment です。個別の項目を踏まえたうえでの総評、という意味になります。

evaluate・assess・rate など「評価する」を表す動詞の使い分けは、こちらで解説しています。

副詞の overall

会話で使いやすいのは副詞のほうです。文頭または文末に置いて「全体としては」「総じて」を表します。

Overall, the campaign was a success.

全体としては、そのキャンペーンは成功でした。

There were a few problems, but it went well overall.

いくつか問題はありましたが、総じてうまくいきました。

なお「全体」を表す語には whole や entire もあります。部分に対する全体を言う overall とは役割が違うので、こちらもあわせてご覧ください。

冒頭で触れた「総合的に判断すると」は、この副詞の overall で自然に表せます。

Overall, I think we should postpone the launch.

総合的に判断すると、発売は延期すべきだと思います。

注意:overall は「網羅的に」という意味では使えない

間違いやすいのは、overall を「網羅的に」の意味で使ってしまうケースです。overall はあくまで「全体としては」を表し、行為に抜けがないことは表しません。

comprehensively と overall の使い分け
英文 意味
The report covers the topic comprehensively. その報告書はテーマを網羅的に扱っている
Overall, the report is well written. 全体としては、その報告書はよく書けている

「網羅的に扱っている」と伝えたいときに overall を使うと、「全体としては扱っている」という別の意味に受け取られます。行為の徹底ぶりを言うなら comprehensively を選んでください。

なお副詞の overall は、文頭だけでなく文末に置くこともできます。前述の it went well overall がその形です。

和製英語「オーバーオール」との違い

日本語のオーバーオールは、胸当てのついた作業ズボンを指します。英語でも overalls(複数形)でこの衣服を表しますが、単数形の overall を「全体的な」の意味で使う場面とは別物です。文脈で判断できるため、混同する心配はほとんどありません。

4. comprehensive と overall はどう違う?

この2語はどちらも「総合的な」と訳されますが、役割が異なります。同じ名詞につけても意味が変わるので、ここが実務でいちばん差が出るところです。

網羅性を言うのか、全体評価を言うのか

  • comprehensive:中身に抜けがないことを言う
  • overall:部分に対して全体であることを言う

判断のポイントは2つです。comprehensive は「カバー範囲に抜けがないか」、overall は「個別ではなく全体を見ているか」を問題にしています。

入れ替えると意味が変わる例

同じ「総合的な計画」でも、こうなります。

「総合的な計画」の言い方による違い
英語 意味
a comprehensive plan あらゆる要素を盛り込んだ、抜けのない計画
the overall plan 個別の計画に対する、全体の計画

前者は計画の中身が充実していることを、後者は計画の階層が上位であることを表します。会議で「the overall plan」と言えば「全体計画」の意味に受け取られ、「中身が充実した計画」という評価は伝わりません。

別の組み合わせでも確認します。

comprehensive と overall の対比例
英語 意味
a comprehensive analysis 網羅的な分析(必要な項目をすべて含む)
the overall results 総合結果(個別の結果をまとめたもの)

この例では、comprehensive は分析の網羅性を、overall は個別の結果をまとめた全体性を表しています。名詞だけで機械的に判断するのではなく、「抜けなく含む」のか「個別に対する全体」なのかで選ぶのがポイントです。

comprehensive と overall の使い分け早見表

comprehensive と overall の使い分け
言いたいこと 使う語
抜けがない、あらゆる面を含む comprehensive
個別に対する全体、総評 overall
全体としては(文頭・文末) overall(副詞)
網羅的に(動詞を修飾) comprehensively

語の選び分けは、使って反応を見ると早い

comprehensive と overall の線引きは、読めば納得できます。ただ会議で「Overall,」と切り出せるか、報告書で comprehensive を選べるかは別の話です。

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5. general|一般的・全般的であることを表す

general は「特定のものに限らない」という意味です。日本語の「総合」が「専門に特化していない」というニュアンスのときは、この語を使います。

The general hospital near my house has 20 departments.

家の近くの総合病院には20の診療科があります。

overall と generally の違い

「全体的に」と訳される点で overall と紛らわしいのが generally です。使い分けの基準はこうなります。

  • overall:個別の要素を踏まえた評価の結論を述べる
  • generally:多くの場合に当てはまる傾向を述べる

Overall, the event went well.

全体としては、そのイベントはうまくいきました。(良い点も悪い点も踏まえた結論)

Generally, our events start on time.

一般的に、私たちのイベントは時間どおりに始まります。(普段の傾向)

前者は「今回どうだったか」、後者は「いつもどうか」を述べています。

ただし generally にも「特定の部分ではなく全体として」という語義があります。Your health is generally good.(あなたの健康状態は全体的には良好です)のような使い方です。overall と完全に別物ではないので、置き換え可能な文脈もあります。

総合病院・総合商社などの定型表現

固定表現として覚えておきたいものがあります。

  • general hospital|総合病院(診療科が特定分野に限らない病院)
  • general trading company|総合商社
  • in general|一般的に、概して
  • generally speaking|一般的に言えば

注意:「総合大学」に general は使わない

「総合」がつくからといって general を選ぶとは限りません。総合大学がその例です。

大学名そのものでは、通常 university と表されます。一方、「幅広い学問分野を持つ大学」という性格を説明するときは comprehensive university という言い方も使われます。general university という表現は一般的ではありません。

6. total|数量を合計したことを表す

total は数を足し合わせた結果を指します。「総合」というより「合計」に近い語です。

The total cost was 45,000 yen.

合計金額は45,000円でした。

The total number of applicants was 312.

応募者の総数は312名でした。

total score と overall score の違い

紛らわしい2つですが、区別できます。

  • total score:複数の点数を合計した値であることを強調する
  • overall score:複数の項目をまとめた「全体としての代表スコア」

overall score は主観的な評価とは限りません。算出方法は合計・平均・加重平均など制度によってさまざまで、機械的に計算される場合もあります。単純な足し算であることを言いたいなら total score、全体を代表する1つの数値であることを言いたいなら overall score です。同じ試験のなかで両方が使われることもあります。

totally との関係

副詞 totally は「完全に」「まったく」を表します。total の「全体の・完全な」という意味からつながる副詞で、会話では強調にもよく使われます。

I totally agree with you.

まったく同意します。

7. 日本語の「総合」を英語にする早見表

最後に、日本語から引ける形でまとめます。

日本語の「総合」から引く英語
日本語 英語
総合的に判断すると Overall, … / All things considered, …
総合評価 overall evaluation / overall assessment
総合得点(合計点) total score
総合得点(全体の代表スコア) overall score
総合順位 overall ranking
総合力 overall ability / overall capability / overall strength(文脈による)
包括的な計画 a comprehensive plan
総合保険 comprehensive insurance
総合病院 general hospital
総合商社 general trading company
総人口 total population

8. よくある質問

「総合的な」は comprehensive と overall のどちらですか?

言いたい内容で決まります。中身に抜けがないことを表すなら comprehensive、個別に対する全体を表すなら overall です。「総合的に判断すると」のように全体を見た評価なら overall を選びます。

overall を「網羅的に」の意味で副詞として使えますか?

使えません。overall は「全体として」を表す副詞で、「網羅的に」という意味にはなりません。「網羅的に」を表したい場合は comprehensively を使います。

総合得点は total score と overall score のどちらですか?

複数の点数を合計した値であることを強調するなら total score です。複数の項目をまとめた全体としての代表スコアなら overall score になります。overall score は主観的評価とは限らず、平均や加重平均で機械的に算出される場合もあります。同じ試験のなかで両方が使われることもあります。

comprehensive の覚え方はありますか?

語源から入ると定着しやすくなります。comprehensive はラテン語の comprehendere に由来し、これは com-「ともに、一緒に」+ prehendere「つかむ」に分解できます。「まとめてつかむ」というイメージから、「理解する」「包含する」という意味につながりました。同じ語源を持つ comprehend(理解する)とセットで覚えると効率的です。

9. まとめ

日本語の「総合」は1語ですが、英語では役割が分かれます。よく使う4語はこうです。

  • comprehensive:中身に抜けがない(包括的な計画・総合保険)
  • overall:部分に対する全体(総合評価・総合順位・全体としては)
  • general:一般的・全般的(総合病院・総合商社)
  • total:数量の合計(総人口・合計金額)

判断の手順はシンプルです。まず「自分は何を総合と呼んでいるのか」を確認します。中身の充実なら comprehensive、全体の視点なら overall、専門に限らないなら general、足し算なら total です。この4語を押さえると、主要な場面で選びやすくなります。

特に実用上覚えておきたいのが、副詞の overall です。「Overall, …」で文を始める形を1つ覚えておくだけで、会議やプレゼンで意見をまとめる場面がぐっと楽になります。

話をまとめて切り出す表現は、ほかにも to sum up や in short などがあります。場面別の使い分けはこちらです。

「Overall, ...」は、一度使うと手に入る

副詞の overall は、文頭に置くだけで意見をまとめられる便利な語です。ただ便利さは、実際に使ってみて初めて実感できます。

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