アメリカのニューヨーク、ワシントンDC、シカゴ、ボストンなどには、世界屈指のコレクションを誇る美術館が数多くあり、多くの観光客が訪れる各都市の人気観光スポットとなっています。
世界中の古代から現代までの名画や彫刻などが広大な館内に展示されており、アートファンなら一度は訪れてみたい魅力的な美術館ばかりです。
今回の記事では、アメリカでぜひ訪れたい代表的な美術館と、各館の見どころや有名コレクション、アメリカの美術館で美術鑑賞をより楽しむためのポイントをわかりやすくご紹介します。
アメリカの美術館とは?基本情報
アメリカには世界最大規模を誇る美術館があり、世界中から集めた名画や名作が多く展示されています。日本の美術館に比べると規模が大きく、期間限定の企画展なども頻繁に行われています。
また、芸術作品を静かに鑑賞するだけでなく、キュレーター(学芸員)が作品について解説するガイドツアー、ジャズやクラシックの生演奏、子どもも楽しめるワークショップなど、多彩な体験を提供しています。
美術館と博物館の違い
英語の「Museum」は、美術館と博物館のどちらも指す言葉で、美術館であることを示すために「Art Museum」や「Museum of Art」と名付けられることが多いです。
美術館は絵画や彫刻などの「美術作品」を専門に展示する施設で、博物館は取り扱うテーマによって展示されるものが異なります。
歴史博物館なら歴史的な資料や昔の道具など、科学博物館なら科学技術や宇宙をテーマにした資料や模型など、自然史博物館なら化石や昆虫の標本など、それぞれの博物館の特色に合わせて幅広い資料を展示しています。
入場料や開館時間の目安
アメリカの美術館の入場料は、大人30ドル前後が目安です。未就学児は無料で、小学生から大学生までは学生料金、シニアは割安料金が適用されることが多いです。
開館時間は10時~17時が一般的ですが、週末や夏休み期間中などは20時や21時まで開館時間を延長していることもあります。
毎週の休館日は火曜や水曜日に設けられていることが多いですが、毎日開館している美術館も少なくありません。年間の休館日は11月第4木曜日の感謝祭、クリスマス、元旦が一般的です。
アメリカの五大美術館一覧!各館の見どころやコレクション
まずは、美術ファンなら一度は訪れたいアメリカの五大美術館を一覧でご紹介します。
| 施設名 | 英語名 | 所在地 | 所蔵品数 | 特徴 |
| メトロポリタン美術館 | The Metropolitan Museum of Art | ニューヨーク州ニューヨーク | 約200万点 | 世界三大美術館の一つ。アメリカ最大の美術館。 |
| ボストン美術館 | Museum of Fine Arts, Boston | マサチューセッツ州ボストン | 約50万点 | 日本国外では最大の日本美術コレクションを所蔵。 |
| シカゴ美術館 | The Art Institute of Chicago | イリノイ州シカゴ | 約30万点 | 印象派とポスト印象派のコレクションで世界的に有名。 |
| ナショナル・ギャラリー | National Gallery of Art | ワシントンDC | 約16万点 | アメリカ唯一の国立美術館。南北アメリカ唯一のダ・ヴィンチを所蔵。 |
| ニューヨーク近代美術館 | The Museum of Modern Art | ニューヨーク州ニューヨーク | 約20万点 | 近現代アートの分野で世界最高峰の美術館。 |
各美術館の特徴、基本情報、見どころやコレクションを詳しく解説するので、アメリカ旅行中に美術館を訪れてみたい方は、ぜひ参考にしてください。
また、こちらの記事では、世界三大美術館について詳しく解説しています。アート好きの方は、ぜひ世界最高峰の美術館も訪れてみてくださいね。
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
ニューヨークのセントラルパークの東端に位置するメトロポリタン美術館は、パリのルーヴル美術館、ロシアのエルミタージュ美術館と並ぶ、世界三大美術館のひとつ。
アメリカ最大の私立美術館で、総床面積18万平方メートル以上の巨大な建物の中に、約200万点以上の作品が所蔵されています。古代から現代までの幅広い年代の世界中の美術作品が集まっており、全てをじっくり見学するには数日かかるとも言われている壮大なスケールの美術館です。
メトロポリタン美術館の最大の見どころとも言えるのが、1階のエジプト美術のセクションにある『デンドゥール神殿』です。
紀元前15年頃の古代エジプトの神殿で、水が張られたガラス張りの展示室の中にあり、自然光が差し込む神秘的な空間となっています。同じく1階の中世美術エリアの宗教絵画や、ロダンなどの彫刻が多く展示されているヨーロッパ彫刻ホールなども、見ごたえがあります。
2階はヨーロッパ絵画やアメリカ絵画が多く展示されており、モネ、ルノアール、ドガなどの作品を楽しめます。
また、ゴッホの絵画を17点所蔵しており、『糸杉のある麦畑』や『麦わら帽子の自画像』は必見です。また、世界で現存するフェルメール作品35点のうち、5作品が並べて展示されているのも圧巻です。
メトロポリタン美術館では、日本語のハイライトツアーも含め、数々の無料ガイドツアーを提供しています。入場チケットがあれば予約なしで誰でも参加できるので、時間に余裕があるなら、ぜひ参加してみてください。
【見どころ・コレクション】
【基本情報】
| 住所 | 1000 Fifth Avenue, New York, NY |
| 開館時間 | 日〜火・木10:00~17:00、金・土10:00~21:00 |
| 休館日 | 毎週水曜日、元旦、感謝祭、クリスマス、5月第1月曜日 |
| 料金 | 大人$30、シニア(65歳以上)$22、学生$17、12歳以下無料 |
| 公式サイト | https://www.metmuseum.org |
メトロポリタン美術館については、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。
ボストン美術館
マサチューセッツ州ボストンの中心部にあるボストン美術館は、アメリカ建国100周年にあたる1876年に開館した歴史のある美術館です。世界各地から集めた50万点以上の美術品を所蔵していますが、中でも日本美術のコレクションが充実していることで知られています。
ボストン美術館の日本美術のコレクションは、明治時代に来日していた動物学者エドワード・モースらの知識人たちが収集した日本画や古美術のコレクションが中核となっています。
20世紀初期には中国・日本美術部の部長を岡倉天心が勤め、ボストン美術館の東洋美術コレクションを充実させ、日本国外では世界屈指の10万点以上の日本美術コレクションを誇ります。敷地内には、岡倉天心の名を冠した日本庭園も設けられており、美術館を訪れた人たちの憩いの場となっています。
東洋美術以外でも、古代エジプトのミイラや彫刻からアメリカの現代アートまで、古代から現代までを網羅した幅広い展示を楽しめます。
特に、ヨーロッパの印象派やポスト印象派の作品が充実しており、クロード・モネの『ラ・ジャポネーズ』、ゴッホの『郵便配達人ジョゼフ・ルーラン』、ゴーギャンの『我々はどこから来たのか?我々は何者か?我々はどこへ行くのか?』など、世界屈指の名作が数多く展示されています。
【見どころ・コレクション】
【基本情報】
| 住所 | 465 Huntington Ave, Boston, MA |
| 開館時間 | 日・月・水・土10:00~17:00、木・金10:00~22:00 |
| 休館日 | 毎週火曜日、元旦、パトリオット・デイ(4月の第3月曜日)、独立記念日、感謝祭、クリスマス |
| 料金 | 大人$30、7〜17歳$14、6歳以下無料 |
| 公式サイト | https://www.mfa.org/ |
シカゴ美術館
イリノイ州シカゴ市の中心部、ミシガン湖畔のミレニアム・パークに隣接したシカゴ美術館は、1879年に美術学校として設立され、1893年のシカゴ万国博覧会で現在の場所へ移転しました。
総床面積は9万平方メートル以上と、メトロポリタン美術館に次ぐ全米2位の広さを誇る美術館で、年間150万人以上が訪れます。収蔵作品数は30万点以上に及び、短時間で回りたい場合はモデルコースを参考にしたり、公式ガイドツアーに参加したりするのがおすすめです。
シカゴ美術館の最大の見どころは、パリに次ぐ規模と言われる印象派やポスト印象派のコレクションで、モネ、ゴッホ、ルノワールなどの傑作が揃っています。
アメリカ美術の傑作品と言われる、エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』やグラント・ウッドの『アメリカン・ゴシック』、ジョージア・オキーフの作品なども必見です。
シカゴは現代建築で有名な都市ですが、シカゴ美術館は建築自体も見どころの一つです。本館は1893年築の壮大なボザール様式で、2009年に増築されたレンゾ・ピアノ設計のガラス張りのモダンウィングとのコントラストが印象的です。
また、1992年に完成した日本ギャラリーは、安藤忠雄氏による設計で、安藤建築の代名詞である打放しコンクリートを使い、美術作品を引き立てる静寂な空間を作り出しています。
【見どころ・コレクション】
【基本情報】
| 住所 | 111 S Michigan Ave, Chicago, IL 60603 |
| 開館時間 | 月・水・金~日11:00~17:00、木11:00~20:00 |
| 休館日 | 毎週火曜日 |
| 料金 | 大人$32、シニア(65歳以上)・学生・14〜17歳$26、13歳以下無料 |
| 公式サイト | https://www.artic.edu/ |
こちらの記事では、シカゴ美術館も含めたシカゴの観光スポットをご紹介しています。シカゴを訪れる方は、ぜひ参考にしてください。
ナショナル・ギャラリー(ワシントンDC)
ワシントンDCの中心部にあるナショナルモールの北側に位置する、アメリカ合衆国政府運営の国立美術館です。西館と東館の2つの建物があり、西館は20世紀初頭までの伝統的な絵画や彫刻作品、東館は現代美術を中心に展示しています。
全ての常設展が完全に無料で開放されており、年間約390万人(2024年)が訪れるワシントンDCの観光名所のひとつです。
総床面積は西館と東館を合わせて約4万平方メートルあり、所蔵作品の点数は約16万点です。印象派ツアーやアメリカ美術ツアーなど、数多くのテーマに合わせたガイドツアーを無料で提供しており、学芸員の説明を聞きながら効率よく美術館を回れます。
公式アプリのオーディオツアー(音声ガイド)は日本語にも対応しているため、日本語で説明を聞きたい方におすすめです。
ナショナル・ギャラリーの見どころは、何と言っても南北アメリカ大陸で唯一のレオナルド・ダ・ヴィンチ作品です。また、フェルメール、モネ、ゴッホ、セザンヌなどの西洋美術の傑作が多く見られます。
【見どころ・コレクション】
【基本情報】
| 住所 | Constitution Ave. NW, Washington, DC 20565 |
| 開館時間 | 10:00~17:00 |
| 休館日 | 元旦、クリスマス |
| 料金 | 無料(事前予約も不要) |
| 公式サイト | https://www.nga.gov/ |
ニューヨーク近代美術館(MoMA)
マンハッタンのミッドタウン中心部に位置するニューヨーク近代美術館は、「MoMA(モマ)」の愛称で親しまれている世界最高峰の近現代美術館です。
1929年に設立され、絵画や彫刻のみならず、工業デザイン、家具、映像など幅広いジャンルに及ぶ、約20万点もの美術作品を所蔵しています。
現在の美術館の本館は2004年にリニューアルされたもので、日本人建築家の谷口吉生氏が手がけました。ガラス窓が多く自然光がたっぷりと差し込む明るく開放的な空間で、建物自体がアート作品とも言えます。
MoMAの見どころは、ゴッホ、モネ、マティス、ピカソ、ダリ、ウォーホルなど、19世紀後半から現代までの名作の数々です。特にゴッホの『星月夜』、ピカソの『アヴィニョンの娘たち』、ダリの『記憶の固執』など、美術の教科書で見るような名作が展示されています。
【見どころ・コレクション】
【基本情報】
| 住所 | 11 West 53rd Street, New York, NY 10019 |
| 開館時間 | 毎日10:30~17:30(金曜は20:30まで) |
| 休館日 | 感謝祭、クリスマス |
| 料金 | 大人$30、シニア(65歳以上)$22、学生$17、16歳以下無料 |
| 公式サイト | https://www.moma.org/ |
美術館観光を楽しむコツ
日本の美術館と比べると規模が大きく見どころ豊富なアメリカの美術館は、事前に下調べをしておかないと、そのスケールに圧倒されてしまうばかりで、存分に楽しめない可能性があります。
旅行先では必ずと言ってよいほど美術館を訪れる著者より、美術館観光を楽しむためのコツをご紹介します。
効率よく鑑賞するための回り方
今回ご紹介しているアメリカの五大美術館は、どれも日本の美術館に比べると規模が大きく、丸一日かけても全展示室の全ての作品を鑑賞するのは難しいでしょう。
また、古い建物の美術館では明確な鑑賞コースが設けられておらず、お目当ての名画のある展示室にたどり着けず、見逃してしまったということも少なくありません。
アメリカの美術館で効率良く名画を鑑賞するためには、予め各美術館の公式サイトを見て、どんな作品が展示されているのかを調べ、見たい作品をリストアップしておくのがおすすめです。館内図を確認し、見たい作品がどの展示室に展示されているのかも調べておくと、効率よく観賞できます。
チケットの購入方法
アメリカの美術館のチケットの購入方法は、事前に公式サイトから購入しておく方法と、当日に現地のチケットブースで購入する方法が一般的です。
週末や祝日などで混雑が予想される場合は、公式サイトから事前にチケットを購入しておくのがおすすめです。特に12月のクリスマス休暇中や春休み期間などは、どの都市も観光客が多くなり、美術館も大変混雑します。
満員で入場できないということはほぼありませんが、チケット購入に時間がかかる場合があります。事前に公式サイトでチケットを購入しておけば、入り口でQRコードなどをスマホで提示するだけでスムーズに入場できます。
美術館で役立つ英語表現
アメリカの美術館で役立つ英語表現をご紹介します。チケットの購入や館内で困らないよう、覚えておきましょう!
チケット購入時に使えるフレーズ
Please give me tickets for one adult and two students.
(大人1人、学生2人のチケットをください。)
Is it free for 12-year-olds?
(12歳は無料ですか?)
Do you offer a senior discount?
(シニアの割引料金はありますか?)
Can I also view the special exhibition with this ticket?
(このチケットで特別展も鑑賞できますか?)
鑑賞時に使えるフレーズ
In which gallery are Dalí's works located?
(ダリの作品はどの展示室にありますか?)
I am looking for Exhibition Room 102.
(展示室102を探しています。)
What time do the guided tours of the Impressionist collection start?
(印象派のガイドツアーは何時からですか?)
Is photography allowed for this work?
(この作品は写真撮影が可能ですか?)
こちらの記事では、美術館で使える英語表現について詳しく解説しています。美術専門用語の英語表現や、美術に関する感想を伝える表現など、役に立つフレーズを網羅していますので、ぜひご一読ください。
アメリカの美術館を巡ってアートの魅力を堪能しよう
ニューヨークやシカゴなど、アメリカの大都市にある人気の美術館をご紹介しました。
アメリカでは、19世紀後半から20世紀初頭にかけての産業革命期に、ロックフェラー、モルガン、カーネギーなどの大富豪が誕生しました。圧倒的な経済力を持つ富豪たちが、文化的なステータスを求めて、ヨーロッパや東洋の美術を買い集め、最終的に美術館に寄贈したことで、現在のアメリカの美術館には世界の名画や名作が多く集まっています。
留学や観光旅行でアメリカを訪れる際には、ぜひ美術館にも足を運んでみてください。世界有数の名画との素敵な出会いが待ち受けていますよ!
◇経歴
東京出身。アメリカの大学を卒業後に現地企業にて12年勤務。子育てを機に退職し、現在はフリーライターをしています。
◇英語に関する資格
英検準1級
TOEIC875点
◇留学経験
アメリカ高校交換留学、アメリカの4年制大学卒
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
アメリカに住んで20数年!アメリカ以外にもカナダ、イタリア、フランス、スペイン、モロッコ、メキシコなど旅行経験あり。
◇自己紹介
高校での交換留学を機に、アメリカの大学へ進学、そのままアメリカで就職し、いつの間にかアメリカ在住20数年。趣味はガーデニングと美術館巡り。