カナダのアルバータ州は、バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州の東隣に位置する州です。1988年に冬季オリンピックが開催されたカルガリーがあり、氷河を頂くカナディアン・ロッキーやエメラルドグリーンに輝く湖など、豊かな自然が楽しめます。
そんなアルバータ州は、世界最大規模の恐竜化石の宝庫としても知られており、ユネスコ世界遺産にも認定されています。今回の記事では「恐竜の聖地」アルバータを満喫する、おすすめの観光スポットやモデルルートについて解説します。
- なぜアルバータは「恐竜の聖地」と呼ばれるのか?
- アルバータ州で絶対に行くべき恐竜スポット3選
- 恐竜スポットを効率よく巡るモデルプラン
- アルバータ恐竜旅行の準備と注意点
- 太古のロマンを求めてアルバータへ旅立とう
なぜアルバータは「恐竜の聖地」と呼ばれるのか?
氷河を頂くカナディアン・ロッキー、深い森林、世界屈指の美しい湖など、壮大な自然に恵まれているアルバータ州は、「恐竜の聖地」として知られています。
アルバータ州がなぜ「恐竜の聖地」なのか、その理由を解説します。
世界最大級の化石産出量を誇る世界遺産
アルバータ州は、地球上で最も恐竜の化石が豊富に産出されている地域の一つです。
アルバータ州では1880年代以降、恐竜の化石が集中的に発見されており、ダイナソー州立公園だけでも150体を超える完全またはほぼ完全な骨格と、数万点規模の標本が世界各地の博物館に収蔵されています。
こうした豊富な化石産出により、ダイナソー州立公園は1979年にユネスコ世界遺産に登録されました。
化石を地表に現す奇跡の地形「バッドランド」
アルバータ州で恐竜化石が多く見つかっているのは、州南東部を中心にレッドディア川流域などに広がる『バッドランド』と呼ばれる荒涼とした地形です。
バッドランドとは「悪い土地」という意味。初期に入植してきたフランス人の商人たちが、灰色の痩せた土や尖った岩山が広がるこの一帯を「住むのに適さず、超えるのも難しい悪地」と呼ぶようになったのが名前の由来です。
バッドランドでは数百万年かけて氷河や川の浸食によって地層が削り取られ、約7500万年前(白亜紀後期)の地層がむき出しになっています。
白亜紀後期は「恐竜時代の黄金期」とも呼ばれている時代で、その時代の地層が奇跡的に地表に表れていることから、多くの恐竜化石が発見されているのです。
アルバータ州で絶対に行くべき恐竜スポット3選
白亜紀後期の地層がむき出しになっているバッドランド周辺は、世界有数の恐竜化石の宝庫です。ここからは、恐竜ファンならぜひ訪れたい、アルバータ州のおすすめスポットをご紹介します。
1. ダイナソー州立公園|本物の化石が眠る大地を歩く
ダイナソー州立公園は、カルガリーから車で2時間ほどの場所にある、約7,800ヘクタールの広さを持つ州立公園で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
レッドディア川流域に広がるバッドランドの景観の中で、有料ガイドツアーに参加すると、本物の化石が散らばる立ち入り禁止区域を歩くことができます。
2. ロイヤル・ティレル古生物学博物館|圧巻の恐竜骨格展示
ロイヤル・ティレル古生物学博物館は、アルバータ州ドラムヘラーのミッドランド州立公園内にある博物館です。1985年に設立され、アルバータ各地、とくにダイナソー州立公園をはじめとするバッドランド一帯で発見された恐竜の骨格標本を数多く展示しています。
全身の一部が非常によく保存されたティラノサウルスの実物標本『ブラック・ビューティー』は、世界でも屈指の保存状態を誇る標本として知られています。
また、群れで生活していたことが分かるアルバートサウルスの密集骨格、皮膚・トゲ・角膜なども奇跡的に保存されたボレアロペルタ、カナダで最良の保存状態を誇るトリケラトプスの頭骨などが展示されています。
3. フィリップ・J・カリー恐竜博物館|最新の研究成果に触れる
フィリップ・J・カリー恐竜博物館は、アルバータ州北部のウェンブリーにある博物館で、最新のテクノロジーによる展示や実際の研究作業を見学できるのが特徴です。
世界有数の化石層を再現した展示や、AR(拡張現実)やCGIを駆使して恐竜時代にタイムトラベルできる体験型展示などで、没入感を得られる展示が楽しめます。
また、実際に古生物の研究員たちが化石のクリーニングや修復作業を行っている様子を見学できる、古生物学研究室の公開も人気です。
恐竜スポットを効率よく巡るモデルプラン
アルバータ州の人気恐竜スポットを2泊3日、あるいは4泊5日で巡るモデルプランをご紹介します。
【2泊3日】カルガリー発着!王道満喫コース
カルガリーから出発する2泊3日のモデルコースをご紹介します。
【1日目】カルガリーから恐竜の町・ドラムヘラーへ
午前:カルガリーからレンタカーで、ドラムヘラーまで約1.5時間(約135km)かけてドライブ。途中、ホースシュー渓谷に立ち寄り、近くの遊歩道を散策してみましょう。
昼:ドラムヘラーに到着したら、まず観光案内所に立ち寄り、世界最大の恐竜像で記念撮影します。高さ約26mの巨大なティラノサウルス像に登り、口の部分の展望台から渓谷を一望しましょう。ランチはダウンタウンのレストランで。
午後:ロイヤル・ティレル博物館へ。世界的に有名なティラノサウルスの恐竜標本「ブラック・ビューティー」など、3~4時間かけてじっくりと見学しましょう。
夜:ドラムヘラーのホテルへチェックイン。レッドディア川沿いの遊歩道を散策、ダウンタウンで夕食を楽しみましょう。
【2日目】ダイナソー州立公園へ
午前:ドラムヘラーからダイナソー州立公園に向けて約2時間のドライブ。
昼~午後:ダイナソー州立公園に到着後、公園内のビジターセンターで展示室を見学します。「クーリー・ビューポイント・トレイル」や「バッドランド・トレイル」など、約1時間で短めのハイキングコースに挑戦してみるのもおすすめです。
夕日に染まるバッドランドの神秘的な景色を楽しめます。
夜:ダイナソー州立公園内のキャンプサイトか、近郊の町ブルックスに宿泊します。
【3日目】化石探索ハイキングツアーに参加
午前:ダイナソー州立公園にてガイド付きツアーに参加します。
普段は立ち入り禁止の特別保護区に入り、実際に地層から突き出た化石や恐竜の骨を見学できる化石探索ハイキングツアー(Fossil Finder Hike Tour)がおすすめです。
午後:州立公園を満喫したら、車で2時間程のドライブを経てカルガリーへ戻ります。
ちなみに、こちらの記事ではカルガリーの観光名所をご紹介しています。ぜひ、参考にしてください。
【4泊5日】恐竜マニア向け!じっくり探求コース
アルバータ州で恐竜を満喫したい方向けに、4泊5日で恐竜にまつわる観光名所を巡るおすすめコースをご紹介します。
【1日目】カルガリーからドラムヘラーへ移動&恐竜トレイルをドライブ
午前:カルガリーからレンタカーで約1.5時間(約135km)ドライブ。途中、ホースシュー渓谷に立ち寄り、近くの遊歩道を散策してみましょう。ドラムヘラーの観光案内所に立ち寄り、世界最大の恐竜像で記念撮影し、恐竜の口部分にある展望台から渓谷の絶景を楽しみます。
昼:ドラムヘラーのダウンタウンのレストランでランチ。
午後:ドラムヘラーからノース・ダイナソー・トレイルをドライブして、ホースシュー渓谷へ。ブレリオ・フェリーでレッドディア川を渡り、サウス・ダイナソー・トレイルへ。オークニー・ビューポイントで、絶景を堪能します。
夜:ドラムヘラーのホテルへチェックイン。ダウンタウンで夕食を楽しみましょう。
【2日目】ロイヤル・ティレル博物館とドラムヘラーの奇岩群を散策
午前中:ロイヤル・ティレル博物館を3~4時間かけて、じっくり見学しましょう。
午後:ドラムヘラーから車で約25分の距離にある、奇岩群「フードゥー」へ移動。周囲のハイキングコースを歩いてみましょう。フードゥーへ向かう途中にある巨大な吊り橋「スター・マイン・サスペンション・ブリッジ」も、高所からスリル満点の景色を楽しめるおすすめスポットです。
夜:ドラムヘラーのホテルに宿泊します。
【3日目】ダイナソー州立公園で化石発掘体験
午前:ドラムヘラーからダイナソー州立公園に向けて約2時間のドライブ。途中、1936年から1984年まで稼働していた「アトラス炭鉱国定史跡」を見学してみましょう。
午後:ダイナソー州立公園へ到着。ビジターセンター見学をした後に、エアコンの効いた車内から化石スポットを効率よく巡れるバス・サファリツアーに参加してみましょう。
宿泊:ダイナソー州立公園(グランピングテントまたはキャンプサイトを予約)または近隣の町ブルックスに宿泊
【4日目】化石探索ハイキングツアーに参加
午前:ダイナソー州立公園主催のガイド付きツアーに参加します。通常は立ち入り禁止の特別保護区に入れる化石探索ハイキングツアーで、地層から突き出た化石や恐竜の骨を見学しましょう。
午後:ダイナソー州立公園を満喫した後は、車で約4時間半の距離にあるアルバータ州の州都エドモントンへ出発。
夜:エドモントンに宿泊します。夕食はエドモントンのダウンタウンにあるレストランで、名物のアルバータ牛のステーキやローストビーフに挑戦してみましょう。
【5日目】フィリップ・J・カリー恐竜博物館へ
午前:朝早くエドモントンを出発し、車で約4時間半の距離にあるウェンブリーへ。
午後:お昼前にフィリップ・J・カリー恐竜博物館に到着。5日目の残りを、博物館の提供する最新のテクノロジーによる展示を見学したり、実際の研究者による作業を見学したりしましょう。
アルバータ恐竜旅行の準備と注意点
アルバータ州で恐竜旅行に出かける場合は、以下の点にご注意ください。
旅行のベストシーズンは夏(6月〜9月)
アルバータ州は北緯49度〜60度と、日本よりやや高緯度に位置しており、地域によっては日本の最北端よりかなり北にあります。
雪は地域や年によって差はありますが、10月頃から降り始め、春先まで積雪が続くことも多いため、長距離ドライブやハイキングをするなら、雪の心配が少ない6〜9月がベストシーズンです。
日差しと乾燥に備える!服装・持ち物リスト
アルバータ州は緯度が高く夏場は日照時間も長いため、夏の日差しが強いのが特徴です。恐竜の化石探索ツアーやハイキングをするなら、日焼け止め、サングラス、帽子などの紫外線対策は必須です。
また、湿度が低く乾燥しているため、お肌を乾燥から守ることも大切です。
こちらの記事では、日本からの直行便が発着しており、カナダ旅行の出発地点となるトロントやバンクーバーの観光名所について解説しています。
カナダ旅行をより豊かなものにするために、ぜひ参考にしてください。
ツアーや体験プログラムの予約は必須!
ダイナソー州立公園のバスやガイド付きツアー、博物館の体験プログラムなどは、一日に参加できる人数に限りがあります。
アルバータ州の観光ハイシーズンである夏場は、アメリカやカナダの夏休みにもあたるため、混雑が予想されます。
人気のツアーや体験プログラムは事前予約が必須なものも多く、当日に飛び入り参加するのは難しいでしょう。旅行の日程が決まり次第、早めに予約しておくことをおすすめします。
太古のロマンを求めてアルバータへ旅立とう
「恐竜の聖地」アルバータ州には、太古のロマンを求めて世界中から多くの恐竜ファンが訪れます。
日本から直行便の発着しているバンクーバーやトロントを経由して、カルガリーやエドモントンへ飛行機で行き、さらにそこからレンタカーを借りる必要があり、アルバータ州への恐竜旅行は、海外に慣れている人でないと難しいかもしれません。
しかし、現在でも恐竜化石が発掘されている広大な荒野「バッドランド」、世界最大級の恐竜化石展示を誇るロイヤル・ティレル古生物学博物館、立ち入り禁止地区にも入れるダイナソー州立公園のガイド付きツアーなど、恐竜ロマンを体感できる場所がたくさんあります。
壮大なスケールの美しい自然と恐竜ロマンを体験しに、ぜひアルバータ州を訪れてみてください。
◇経歴
東京出身。アメリカの大学を卒業後に現地企業にて12年勤務。子育てを機に退職し、現在はフリーライターをしています。
◇英語に関する資格
英検準1級
TOEIC875点
◇留学経験
アメリカ高校交換留学、アメリカの4年制大学卒
◇海外渡航経験、渡航先での経験内容
アメリカに住んで20数年!アメリカ以外にもカナダ、イタリア、フランス、スペイン、モロッコ、メキシコなど旅行経験あり。
◇自己紹介
高校での交換留学を機に、アメリカの大学へ進学、そのままアメリカで就職し、いつの間にかアメリカ在住20数年。趣味はガーデニングと美術館巡り。